三谷竜生(30=奈良)が5月・日本選手権(ダービー)からのG1連続Vを飾った。脇本雄太の打鐘先行に乗り、ゴール寸前での差し切り勝ち。かつての高松宮記念杯開催地・びわこ競輪場をホームとした父典正氏(引退)の悲願でもあった大会を制し、賞金額は早くも1億円を突破した。2着には脇本、3着には原田研太朗が入った。

 非情に徹した。三谷は、初のG1を目指して世界レベルのスピードで駆ける脇本にピタリとつけ、ゴール寸前で1/2車輪抜き去った。派手なガッツポーズはない。「うれしい。脇本君にすべて任せていた。初日抜けていなかったからゴールまでしっかり踏んだ。周りのおかげです」と感謝した。そして「近畿、それも小さい頃から見ていた大会を勝てて良かった」と顔を紅潮させた。

 出身は滋賀県。デビュー前の練習地はびわこ競輪場だった。その地元バンクが11年3月に廃止になったことで奈良支部からデビューしたが、びわこが固定場だった高松宮記念杯は最も思い入れのある大会だ。父典正氏が5回挑戦して取れなかった勲章を手にし「(まず)父に優勝を伝えたい」と表情を崩した。見守った兄将太が「僕もうれしいし、父も喜んでいると思う」と言えば、近畿の総帥・村上義弘も「僕らの世代は宮杯といえばびわこだが、しばらく持ち回りになった。近畿の開催で近畿の選手が勝ったのは04年の松本整さん(引退)以来。来年(岸和田)以降も僕らでこのタイトルを守っていかなくてはならない」と後輩の頑張りをたたえた。

 昨年はダービーで初タイトルを取った後に失速。だが今年はダービー連覇後の今大会を勝ち、早くも賞金1億円を突破した。「今年は後半も頑張りたい。1億円? その責任感を持って走りたい」と気を引き締める。逃げて一流、差しても一流。18年後半戦も三谷を中心に輪界は回る。【栗田文人】