女子戦の主力に成長して、今大会で初タイトル奪取の期待がかかるのが、長嶋万記(34=静岡)だ。連載「ROAD TO レディースチャンピオン」の注目選手2回目は、進化し続ける長嶋の今を追った。

 スタートの踏み込みから展開を突いて抜け出す。鋭いハンドルワークにレースの読み。それが長嶋の真骨頂といえる。しかし、長嶋はレーサーとして飛躍するため、それを捨てようとしている。

 「A1を守る走りをしている。だからレースに魅力がない」。夫にこんなきつい言葉を言われた。長嶋も「リーグ戦では相手、展開を見過ぎてる。だから、まくり差しが多かった」と自らを振り返った。2年前に7点を超えていた勝率も6点半ばに下がっていた理由を、夫が愛ゆえの苦言で教えてくれたのだ。「これでは上に行って勝てないし、自分で流れも持ってこれない」。攻めるレース、握って自分が主導権を奪うレースをすることを胸に刻み込んだ。

 長嶋の近況は目に見えて1着が増えている。イン戦だけではなく、アウト戦でもだ。今大会も攻めの姿勢が結果につながるはずだ。【中川純】

 ◆長嶋万記(ながしま・まき)1981年(昭56)5月28日、静岡・御前崎市生まれ。02年11月常滑でデビュー。初勝利は03年2月びわこ。初優勝は09年12月尼崎女子リーグで通算12回V。「マキプロジェクト」を立ち上げて社会支援活動を積極的に行っている。166センチ、47キロ。血液型AB。

※明日は「名勝負編」