不屈の男・鈴木誠(50=千葉)が、平塚バンクに登場する。

 今年の日本選手権を控えた練習中に左手首を骨折。198日もの長期欠場を経て前回函館で復帰した。

 「本当は3、4カ月で復帰できたんだけど、プレートを抜くためにまた1カ月休むくらいなら、最初から休んでしまおうと思ってね。今年で選手になって丸30年。半年休んだ分『また走りたい』という気持ちがわいてきた。いい休みになりましたよ」。闘志が衰えるどころか、心の底から走りたい欲求がわいてきていた。

 函館での復帰戦が気迫の走りだった。予選は最終バック8番手という絶体絶命の展開。鈴木は最終3角からもつれた前団の最内を突き、華麗に抜け出して2着を確保。ベテランらしい、巧みなハンドルさばきだった。

 「初日、2日目までは自分のことで緊張していた。当たられたらどうしよう、とかね。でも最終日になったら、普段通りのレースの緊張感しかなかった。もう大丈夫ですね」。復活の時は近い。

 オールスターでは弟弟子の武井大介と共に、誘導員として決勝のバンクを周回。「やっぱりG1の雰囲気はいいですね」。当然、狙うのは来年8月の松戸オールスター出場だ。そのためにも、今期はどうしてもS級の点数が欲しい。

 年末にかけてシビアな戦いが続く。復帰2場所目の予選8Rは連係実績が抜群な加賀山淳が目標。平塚で鈴木誠が円熟の走りを披露する。