大村ボートの「G1第62回九州地区選手権」は明日9日、開幕する。

 ミラクル・メイこと川野芽唯は昨年、福岡クイーンズクライマックスで優勝を飾った。ついこの間まで、女子の中でも伏兵扱いされることが多かった。それが、一気にトップ選手の仲間入りを果たした。目を見張るような急成長ぶりだ。

 同門の先輩・瓜生正義の背中を追い、強くなった。SG、G1を主戦場とする瓜生と同じあっせんになることはほとんどない。「もっと瓜生さんと一緒に走って、近くで勉強したいと思った。そのためには地区選に出ないといけない」。同じレースを走るには、自らがステップアップをするしかない。偉大な先輩に少しでも近づくため奮起した。

 初めてA級に昇格したのは14年後期。しかし、苦悩は多かった。平均スタートが遅く、インで苦戦した。それが、昨年5~11月の平均Sはコンマ18、イン1着率は63・2%に上昇した。「スタートは遅れることはあるけど、しっかり行けるようになってきた。タイミングは遅いけど、前よりは行けている」という。スタートだけでなく、エンジン出しも安定した。「プロペラもそうだし、調整方法をいろいろこだわらずにやりはじめた」。エンジンの調整や、レースに対する姿勢が、結果に結び付いた。

 G1を勝ち、注目を集める存在になった。それでも「記念でしっかりレースができる技術をつけて、安定したスタートが行けるようになれば」と課題を挙げる。「来期もA1になれば、もっと記念に呼んでもらえるようになるかもしれない。その時にしっかりレースできるようになりたい」。3月には平和島クラシックでのSGデビューも控えている。初出場の今回の地区選は、さらに上の舞台で輝くための挑戦の場だ。強豪男子の壁は高いか。いや、またもミラクルを起こす可能性は十分にある。

 ◆川野芽唯(かわの・めい)1986年(昭61)3月25日、福岡県生まれ。100期生として07年5月若松でデビュー。初優勝は10年12月児島。昨年12月の福岡クイーンズクライマックスでG1初優勝を果たした。同期には平高奈菜、鎌倉涼ら実力派がそろう。163センチ、45キロ。血液型AB。