「G1第59回中国地区選手権」が明日10日から15日まで、広島県・宮島ボートで開催される。

 今、広島支部でぐいぐい成長している若手がいる。それが新田泰章だ。篠崎仁志、後藤翔之らと同期の101期生。1Mの攻めのハンドル、道中の力強い追い上げなど、エンジンが出ている時はG1級レーサーと遜色ない走りを見せる。今期勝率は7点を超え、自己最高のペース。今回の地区選が初のG1出場となるが大仕事をやってのけても不思議はない雰囲気がある。

 新田 初のG1はワクワクドキドキです。これから上で戦っていこうと思ったら、通らなきゃいけない道だと思っています。山口(剛)さんなど先輩たちがいてくれるのも心強い。

 目下の好調さもあいまって、高い壁にぶつかっていく気概は十分だ。それほど強い気持ちになるのはリズムがいいからだけではない。昨年デビューした妹・新田有里(116期)の存在が大きい。

 新田 妹がデビューして自分の気持ちが変わった。兄貴がA2じゃ格好悪いと思うようになった。妹にアドバイスをする前に、まず、自分がやらないと。やればできるじゃないけど、最近は自分の成績が上がっているのが分かる。どんな開催でも、勝率7点を取って帰ろうと思っています。

 昨年、レース中のけがであばら骨を骨折した。その間は体を動かすことができず、部屋でじっとしているだけだった。しかし、それでは時間がもったいない。何ができるか? 考えた結果、減量に手をつけた。

 新田 あの時はほとんど何も食べず、生活していた。あの時期があったから、今は朝ご飯を食べても、ほぼ51キロ。軽くなってエンジンが出るようになった。

 オール広島支部で行われた宮島の新春シリーズでも優出した。優勝戦は6枠。1枠から順に市川哲也、西島義則、辻栄蔵と並んだが、6コースから迫力ある旋回を繰り返し、2着に入った。思い切りの良さが出ていた上、地に足が付いたレースぶりだった。

 新田 今は冷静にやれることをやっていこうと思っている。しっかりやっていけば決して劣っていることはない。気持ちのバランスを大事に戦っていきたい。

 広島支部から新たなスター誕生となるか。新田から目が離せない。

 ◆新田泰章(にった・やすあき)1987年(昭62)4月30日、広島県生まれ。高校時代はサッカーに熱中。しかし友達と訪れた宮島ボートで「度肝を抜かれた」と方向転換。101期生として、07年11月に宮島でデビュー。08年2月びわこで初勝利。14年1月大村で初優勝。160センチ、51キロ。血液型B。