中村雅人(35=川口)が史上5人目のグランドスラムを達成した。6周3角で逃げる鈴木圭一郎をとらえ、ゴールまで粘り切った。

 初SG制覇の10年スーパースターと同じ3枠から出た中村は、1周バックで先頭を奪った鈴木を徐々に追い詰めてさばく。エンジンは力強い音を響かせている。「いける!」。カクテル光線は祝福のシャワー。「弟分に負けないよう、背中を追った」。

 鮮やかな花火が何度も上がり、充実感に胸をいっぱいにして「本当にうれしい。最近はなさけないレースが続いていたが、うまくいった」と喜びを爆発させた。エンジン、シリンダー、クランク交換などで懸命に仕上げて4日目に一変。「いい状態でいけた。試走よりレースの方が良かった」。

 お盆開催とあって1万3000人が入場。表彰式では大きな拍手と歓声が起こった。「完全燃焼。最高の気分です」。故片平巧、高橋貢、永井大介、浦田信輔に続くグランドスラマーとなり、寡黙な男が素直に喜びを口にした。

 今年は全日本選抜に続くSG2回目の優勝。2年連続のMVPも視界に入った。5日間続いたSGの激闘は、快挙達成で幕を閉じた。走路には開催中のリオ五輪同様の熱気が残った。【天野保彦】

 ◆中村雅人(なかむら・まさと)1981年(昭56)2月21日、栃木県生まれ。川口所属の28期生。S級1位。SG優勝はSS王座決定戦(10、13年)、オールスター、日本選手権(14年)、全日本選抜(16年)。15年に15連勝を達成し、年間最多勝記録を更新した。通算優勝50回。1着491回。趣味はマリンスポーツ。159センチ、46キロ。血液型AB。