菊地孝平(38=静岡)が2コース差しから2Mで石野貴之を逆転、5回目のSG優勝を飾った。今節は桐生推薦選手予備3位からの繰り上がり出場だった。獲得賞金は8000万円を超え、こちらも逆転トップに立った。人気の石野はSG連続Vならずで2着、3着は長田頼宗が入った。

 ミラクルVをやってのけた。桐生推薦予備3位から繰り上がり出場の菊地孝平が、14年6月の浜名湖グラチャン以来、約2年ぶり、通算5回目のSG優勝を飾った。枠なり2コースから差し、バックはイン先マイの石野貴之を猛追、2Mは絶妙な小回りで逆転した。ゴール手前で力強く、数回拳を突き上げた。「珍しく完璧なターンができました」とニヤリ。2号艇で3回目のSGの頂点に立った。

 準優後から「差しのイメージしかない」と話した通りの戦法で勝った。調整もばっちりと合った。「展示からすごく良かった。これはいいかも。出足はいいと思った」。さらにレース前のテレビ観戦で勇気が湧いた。「24時間テレビを見ていたら本田(圭佑)君がいいことを言ってた。子供に落ち込むことはないかと聞かれ、下手だから失敗は怖くないと。石野君は足もいいし、ターンも素晴らしい。当たって砕けろ! という気持ちになれた」。サッカー界の雄に感謝した。

 鳴門オーシャンカップは準優戦で2選手がフライング、加えて出場権のある石野貴之が優勝したことで菊地まで権利が回ってきた。「4位なら出られなかった。桐生の施行者さんに感謝したい。最高の下克上ができた」と自画自賛。8月生まれで、05年若松以来11年ぶり2回目のメモリアルV。「夏男と言われたい」と笑った。

 獲得賞金は8000万を超え、トップに立った。MVP獲得の14年以来、5回目のグランプリ出場へ当確となったが「目標? 次の宮島(周年)を頑張ります」と1走集中を掲げ、グランプリを見据える。【窪寺伸行】

 ◆菊地孝平(きくち・こうへい)1978年(昭53)8月16日、岩手県生まれ。82期生として98年5月に浜名湖でデビュー。01年5月のびわこで初優勝。SGは05年9月若松メモリアルで初優勝。同期は坪井康晴、赤岩善生ら。166センチ、52キロ。血液型AB。