日刊スポーツ新聞社制定「第３０回競輪年間三賞」が決定した。ＭＶＰの殊勲賞はＫＥＩＲＩＮグランプリ（ＧＰ）と名古屋日本選手権を制した村上義弘（４２＝京都）が受賞。敢闘賞は競輪祭を制してＧＰ権利を獲得した平原康多（３４＝埼玉）、技能賞は寛仁親王牌で悲願のＧ１初制覇を遂げた稲垣裕之（３９＝京都）、ガールズ最優秀選手賞はガールズグランプリを制した梶田舞（２９＝栃木）が受賞した。表彰式は２月２３日に東京・品川プリンスホテルで行われる。

　激動の１年を村上義弘が華麗に締めくくった。平原康多とのまくり合いはＧＰ史上に残る名勝負だった。ゴール後は前で戦った稲垣裕之と肩を寄せ合ってウイニングラン。控室に戻ると止めどなく涙があふれた。

　３月のＧ１日本選手権（名古屋）を４度目の優勝。早々とＧＰ権利をつかんだが、ここからが苦境の連続だった。Ｇ１はおろかＧ３でも勝てないことが続き、ストレスもたまる一方だった。それでも８月Ｇ１オールスターでは決勝進出。後輩の稲垣裕之の前で果敢に逃げたが、稲垣はあと１歩のところで優勝を逃した。

　だがＧＰ本番では寛仁親王牌制覇でＧＰ権利をつかんだ稲垣が落ち着いた運びで打鐘４角から先行。番手まくりで絶好機をものにした。「ＧＰはすべてがかみ合って結果以上のものが出せた。そこで勝てたことで周囲の目も変わってくるが、実力さえあれば結果は付いてくる」と話した。

　今年はＧＰ覇者に与えられる１番車ユニホームをまとい、重圧がかかる１年になる。「目標は決めず目の前の１つ１つにしっかりと対応していく」。王者村上の激闘が再び始まる。

　◆村上義弘（むらかみ・よしひろ）１９７４年（昭４９）７月６日、京都市生まれ。花園高卒。競輪学校７３期生在校１６位。９４年４月小倉でデビュー。００年ふるさとダービー豊橋でＧ２初制覇、０２年岸和田全日本選抜でＧ１初制覇し、通算Ｇ１優勝６回。ＧＰは１２、１６年の２回。１７０センチ、７６キロ。血液型Ｏ。