地元の絶対王者・高橋貢(46=伊勢崎)が、12年スーパースター王座決定戦以来、4年8カ月ぶり21回目のSG優勝を果たした。抜群のスタートを決めて先頭を奪い、10周回を逃げ切った。SG5大会連続制覇&グランドスラムを狙った鈴木圭一郎を寄せ付けず、ダブルグランドスラムを達成した。

 高橋は全神経を研ぎ澄まして大時計の針を見詰めた。選手27年目の経験を集約させて、04のトップスタートを切る。「自分でもびっくり」と振り返る好発進だ。一気にスピードに乗り、2番手の鈴木圭一郎を引き離す。「先頭だし10周回は長かった」。久々のSG優勝に、ゴール後は左手で2回、右手で3回のガッツポーズをして喜びを爆発させた。

 抱き合うファン、涙するファン。地元の雄が場内を熱狂させた。「車が動いていたし、練習の感じも良かったので、リラックスして走れた」。百戦錬磨のベテランが納得の調整に成功した。マシンへの自信が、ロケットスタートに結び付いた。

 鈴木の偉業達成に、大きく立ちはだかった。若手の台頭に「壁になる」と公言する男が、大舞台で実践。久々の美酒に新人選手のような笑みがはじけた。「若い選手に負けないように。これで終わったら意味がない」。実力者がカクテル光線を浴び、輝きを取り戻した。【天野保彦】

 ◆高橋貢(たかはし・みつぐ)1971年(昭46)6月14日、群馬県生まれ。91年にデビューし通算1336勝。優勝196回、グレード戦は71回目の優勝。趣味はゴルフで競馬好きでも知られる。173センチ、53キロ。血液型B。