500バンクとしては最後となる千葉競輪「日刊スポーツ杯・東出剛メモリアルカップ」決勝が行われ、地元の海老根恵太(40=千葉)が番手絶好の展開から抜け出して優勝した。

 A級も地元の会田正一が制し地元アベックV。ガールズケイリンは鈴木美教が最終ホームカマシで押し切った。全レース終了後にはファンにバンクが開放され、今開催最後に解体される500バンクへの別れを惜しんだ。

 500バンク最後の開催には約3000人ものファンが集まった。全レース終了後の式典には滝沢正光・日本競輪学校校長や選手、OBら約50人が参列した。日本競輪選手会千葉支部長の中村浩士は「最初、千葉競輪が廃止になると聞いたときはすごく胸が苦しくなった。どうにか存続してもらうため、策を練って頑張ってきた。みなさまの力を借りてつながった千葉競輪。廃止ではなく、存続です。この勢いで新しい未来に向かって走っていきたい」と頭を下げた。式典終了後にはファンにバンクが開放され、約500人が普段は触ることができない打鐘をたたくための長い列ができたほか、ナイター照明で照らされたバンク内での記念撮影を楽しんだ。

 千葉競輪場は49年に全国で11番目の競輪場として誕生。すべての特別競輪(G1)を制すグランドスラムを達成した滝沢氏や、鈴木誠、海老根らタイトルホルダーを数多く輩出した。滝沢氏は「1日で最高200周した」というエピソードも明かしていた。

 施設の老朽化や場内にある国有地の問題から、一時は17年度末での廃止の方針が出されたが、国際規格の室内250メートルバンクの競技場を建設することで存続へと転換。今月14日には国有地取得等の補正予算案が可決された。今後はメインスタンドで場外発売を続け、他場を借り上げる形で開催を続行。バンクは年明けから解体工事に着手、20年秋ごろには室内250メートルバンクでの競輪再開を目指す。3年後には、新時代の打鐘の音色が響き渡る。

 滝沢正光・日本競輪学校校長 500バンクが終わってしまう寂しさはあるが、新しいことが始まる期待感の方が大きい。新しい人が歴史をつくってほしいし、そういう選手を輩出できるようにしたい。(250メートルバンクでも)安心して見ていられるような選手を育てていきたい。