12Rで優勝戦が行われ、渡辺英児(48=静岡)がうねりも何のその、2コースから差し切り、マスターズ初出場で初優勝を飾った。G1優勝は98年8月の浜名湖周年以来20年ぶり2度目。静岡支部勢のマスターズ優勝は14年の金子良昭に続いて2人目。2着には市川哲也、3着には野添貴裕が入線。史上初の連覇が懸かった今村豊は5着に敗れた。

 最終日の水面はうねりが強く、1Mはまさに難所と化した。10R、11Rはいずれも2コースの選手が差して白星をマーク。渡辺英児はこれを好機ととらえた。「いい流れになった。いつもの走りをすればチャンスはある」。腹は決まった。

 インで先マイの今村豊の舟が暴れて、差した渡辺にも影響した。艇が浮いてしまい「(他艇に)やられるんじゃないかな」と思ったそうだが、他艇もうねりに足を取られていたのが分かった。すぐさま舟を安定させることを意識して立て直すと、各コーナーを丁寧に旋回し、第19代のマスターズチャンプの座に就いた。

 相棒の18号機は近況、好成績を残す上昇機だった。初日1Rは何もしない状態で臨み4着敗退。その後、じっくりと本体点検に取りかかり、良機らしさを引き出すことができた。「これでレースに集中できる。気持ちが楽になったなって」。早い決断が功を奏した。

 もともと、福岡は「相当、相性がいい」と公言する水面。他の選手がてこずるうねりも全く苦にすることはなかった。「全体に上位の感じだったし、自分がきっちり回れば大丈夫」。初めてのマスターズでも、後輩が多数いたことで、緊張感なく臨めた。

 G1優勝は20年ぶり。「初優出で勝てたしそのうちにもう1度できる、となめていたら20年かかりましたね」と苦笑い。今回の優勝で来年3月、戸田クラシックの出場権を獲得。再びSG参戦を果たす。「完走することを目標としてたけど、もう1回優出して、集中して走りたい」と思いをめぐらせた。【工藤浩伸】

 ◆渡辺英児(わたなべ・えいじ)1969年(昭44)7月5日、静岡県生まれ。67期生として90年11月に浜名湖でデビュー。同年12月の浜名湖で初勝利。94年4月の尼崎タイトル戦で初優勝。G1は98年8月の浜名湖周年で初優勝。同期は大場敏、市川哲也ら。168センチ、53キロ。血液型B。