有言実行の優勝だ! 白井英治(41=山口)が、インから完璧な逃げを決めて優勝。14年の若松メモリアル以来2度目、地元では初のSG制覇を決めた。64年ぶりのSGで盛り上がる地元開催。プレッシャーは半端ではなかったが、ファンの期待に応え、獲得賞金のトップに立った。

 64年ぶりの歴史的なSG開催で、これ以上ない結果を出した。期待を背負った白井英治が、涙の地元SG初制覇を果たした。

 今年は1月平和島周年、3月浜名湖クラシックで優勝戦1号艇を勝ち取りながら敗れた。そんな不安を一掃する、コンマ07の完璧なスタート。そして1Mは他を寄せ付けず、力強く押し切った。最終Mを回ったときには天を見上げた。「勝利の女神様に感謝しました」。さらりと言ってのける姿が、またよく似合う。

 「ゆっくり休みたいです。疲れました」。この言葉が今節の白井を集約している。「優勝しか考えていない」と前検日から言い続け、自分を追い込んだ。プレッシャーにつぶされそうになったとき、支えてくれたのが師匠今村豊の姿だった。「今村さんはエンジン出しに苦労していましたけど、最後まで諦めずに整備して試運転していたので、そこで勇気をもらいました」。決して屈しない姿が白井をふるい立たせた。

 ゴール後は、感極まり、涙を流した。14年にSGで初優勝した若松メモリアルでもなかった光景だ。「うれし涙は今までないです。我慢できなかった。峰(竜太)より泣いたんじゃないかな(笑い)。ファンの皆様の声援やおめでとうと言ってくれる人の目とか、そこを見ると止まらなくなった」。最後まで自分を信じ続けたファンに感謝した。

 獲得賞金はトップに浮上。自分に打ち勝った白井は、また1つ強くなった。年末のグランプリに向けて、力強く突き進む。【古村亮】

 ◆白井英治(しらい・えいじ)1976年(昭51)10月15日、山口県美祢市生まれ。80期生として97年5月に下関でデビュー。初優勝は99年1月の蒲郡、G1優勝は10度、SGは14年若松メモリアル以来、2度目の優勝。同期は重成一人、平田忠則、香川素子ら。173センチ、51キロ。血液型O。