明日24日から29日まで尼崎ボートで開設66周年記念「G1センプルカップ」が行われる。地元センプル軍団エースの吉川元浩が仁王立ち。地元Vが遠ざかっている周年制覇に向けて気合が入る。また、来年3月に一般開放が予定される「尼崎城」に興味津々の本紙担当の北條直治が、先行情報をお届けする。

 地元の吉川元浩がセンタープールで仁王立ちだ。5月に行われたSGオールスターで優出。4カドから果敢に仕掛けるセンプル魂で吉川らしさは垣間見えたが、6着に終わった。

 「普通でもいいけど、いいエンジンを引きたいですよ」と常に口にする。オールスターの相棒だった47号機に関しては「引いた時には70点。そこからGWで試した調整をして、足は変わらず良かったから狙っていた。最低限の優勝戦に乗れたけど、納得はできない。悔しいですね」と唇をかんだ。つかみ取ることができなかった地元でのSGタイトル。地元G1で意地を見せるのみだ。

 行き足を重視する調整方法は、ペラの方向性も独特だ。たとえ吉川が仕上がっていても、次に駆る選手は「足が良くても乗れない。よくこの状態でレースができますね。高度すぎて調整がとても難しいです」と、嘆くほど。それだけ彼独特の操蛇技術に合った調整方法はまねができない。オンリーワンの吉川スタイルといえる。

 レースは攻撃型。当然、最大の武器はスタートだ。どうしてもフライングは多くなり、いい流れを止めてしまうリスクがつきまとう。しかし今年はここまでフライングゼロで、コンスタントに出場しているのが大きい。さらに6月の福岡周年では、5コースから鮮やかなまくり差しで優勝を飾った。賞金ランキングは6位(17日現在)。年末のグランプリ出場へ視界は明るい。まずは57周年の吉田俊彦以来、地元Vがないセンプルカップを制して、今年後半戦へ勢いを持続させる。

 ◆吉川元浩(よしかわ・もとひろ)1972年(昭47)9月7日、兵庫県生まれ。96年11月に79期生として尼崎でデビュー。1走目に早くも白星を挙げて、早くから注目を集めていた。通算優勝回数は78回。同期には沢大介、岩崎正哉、阿波勝哉、松元弥佑紀、岡田憲行、別府昌樹らがいる。164センチ、50キロ、血液型O。