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池江泰郎師「勇気もらった」/ジャパンC

優勝カップを手にファンの声援に応える池江泰郎師
優勝カップを手にファンの声援に応える池江泰郎師

<ジャパンC>◇26日=東京◇G1◇芝2400メートル◇3歳上◇出走11頭

 検量室前でディープインパクトを迎える池江泰郎師の表情は、終始硬かった。ノーザンファームの吉田勝己

代表から握手を求められた時にわずかに笑みをこぼしただけで、再び口元をギュッと結んだ。喜びだけではない、特別な感情に支配されていた。「胸がじーんとなった。熱くなって、体内の流れは涙でいっぱいだった。ディープにありがとう。もうそれだけだったですね。感謝、感謝です」。声を絞り出し、ゴールの瞬間を振り返った。

 凱旋門賞3着の敗戦ショックが冷めやらぬ10月19日、禁止薬物検出の知らせがもたらされた。失格処分が確定した16日、そしてこの日の帰国第1戦を終えるまで、気の休まる日は1日もなかった。薬の不正使用はしていない。その点に関して、揺るぎない自信を持っていた。しかし主催者間の申し合わせで沈黙を守ったことと、結局は不注意が原因とされたことで、非難を浴びせる世間の声とのギャップに戸惑った。

 「この2カ月近い期間は、自分にとって1年を思うような過ごし方だった。1日が苦しく長かった」。65年間の人生でも最大の試練を課され、1人で悩みを抱える調教師を救ったのは、無垢(むく)な馬の走りにほかならなかった。「ディープは何も知らない雰囲気で、ディープらしい姿を見ていると、このままじゃダメだと思った。ディープに勇気をもらう毎日でありました」と頭を下げた。調教に際しては普段と変わらず職人として目を配った。そして無駄な脂肪をそいだ究極の馬体に仕上げ、インパクトを送り出した。

 「人生、山あり谷あり。つらい時があれば倍になって返ってくる。そんな思いです」。馬に対して責任を果たしたトレーナーは、残る有馬記念に全力で臨む。【岡山俊明】

[2006年11月27日8時22分 紙面から]

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