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村上さんの涙を忘れない/ダービー日記

97年デイリー杯3歳S優勝時のボールドエンペラー、左は村上厩務員
97年デイリー杯3歳S優勝時のボールドエンペラー、左は村上厩務員

<ダービー取材日記>◇26日

 ダービーがくると思い出すことがある。あれは98年ことだ。

 14番人気の超伏兵で2着に入ったボールドエンペラー。担当の村上忠正厩務員は2着でも泣いた。悔し涙ではなく、歓喜の涙だった。

 「ダービーだけは特別なんや。2着でもこんなうれしいことはない」。

 勝って泣く厩務員はいくらでもいる。だが、2着でうれし涙を流した厩務員は、村上厩務員1人かもしれない。

 その1年前の97年。同厩務員は2歳王者のマイネルマックスでダービーに挑戦し、15着に惨敗していた。熱発でスプリングSを回避したことが尾を引き、大一番に万全の仕上げができなかった2年分の思いが詰まった一戦だったからこそ、2着でも涙が出た。

 「ダービーは特別」。取材をしていても、よく聞こえてくる言葉だ。だが、後にも先にも、ダービーの特別さを感じさせてくれた出来事は98年の村上厩務員の涙の他にない。

 土曜午後の関西馬到着を見届け、レース前の取材は終わった。

 フサイチホウオーの松田国師は、前売り1・8倍の1番人気に「調教師みょうりに尽きる」と目尻を下げた。

 アサクサキングス、ヒラボクロイヤルで2頭出しをかける大久保龍厩舎。六反田厩務員は「この舞台に2頭を出せるなんて、幸せな厩舎だ」と表情を崩した。

 ナムラマースの西谷厩務員は「少しでもいいから応援馬券を買ってくれや」と笑った。

 どれも、ダービーだからこそ出てくる言葉だ。

 今年も運命の1日がやってくる。74回目の頂上決戦は、果たしてどんなドラマが生まれるのだろうか? (おわり)【鈴木良一】

[2007年5月26日20時22分]

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