コラム「堂前英男のぶっちゃけ!!」
状態最高!ツキもある荒尾/第5回
「こんなにいい状態でSGに臨めるのは初めてです」。船橋のG1、そして地元・飯塚の一般開催を連続優勝し、乗り込んできた荒尾聡(27)。選手権でもきっちり優出したが、その裏には目に見えないツキもあった。初日、3日目と荒尾の直後で落車事故あったが、巻き込まれずに事なきをえている。さらに、準決は追突されてフレームにダメージを受けたが、修正可能なレベル。優勝戦に向け、しっかり立て直すはずだ。
9月のSGオートGPでは優勝戦4着に終わり「貢さん(高橋)より、僕の方がずっと車は出ていた。でも抜かれた。あれが腕の差です」とここ一番でのレース運びを課題にあげた。「今のボクはS行ってなんぼの選手。でも目指すところはSで遅れても見せ場をつくれるレーサー」。貪欲(どんよく)に自らに課題を持ち、追求していくスタイルこそ荒尾流。準決からさらに上積みがあれば、「SGでさばいて勝つ」も十分に可能といえる。
選手権とは「選手になったからには取りたいSG、誰でもあこがれるSGです」と強い思い入れを語った。田中の超抜マシン、高橋の底力も侮れないが、絶好の4枠に入った荒尾の優勝と信じ2、3着に田中、高橋、有吉を絡めた3連単で10周回を楽しみます。(アナウンサー)
“つまらない”迷い捨てた山田真/第4回
「つまらないレースだった」。昨年の選手権決勝について、ファンからの一言に山田真弘(36=船橋)はショックを隠しきれなかった。自身は「すべてを出し切れた最高のレースなのに」。ファンと自分の価値観の違いに悩み、それからさまざまな迷いが山田を苦しめた。SG連覇、MVPと最も輝きを放った昨年から、周囲の「勝って当たり前」というプレッシャーもつらかった。
マシンも思うように動かず「自分が何をすればいいかわからない」。まさに絶頂からどん底に。血のにじむような13キロキロの減量も、いつしか64キロまでリバウンド。昨年の反動は凄まじかった。好きな物を食べ「このくらいが人生楽しい」と開き直ったが、選手権へもう一度気を引き締め、先月から減量中。「変な格好は見せたくないし、後悔しないように。最低限優出」と久々の熱いメッセージ。今回にかける思いは相当に強い。
初日は事故に巻き込まれたが不安は無さそう。3日目は浦田と好勝負を演じ「もっとタイムは出そうだし、タイヤも抜群」とほぼ納得の出来にある。準決11Rは昨年の決勝と同じ1枠。トップスタートから8周を逃げ切るとみた。超抜・田中茂はどこからでも現れそうで、3連単車券は(1)(5)から3着を(4)、(7)、(8)の3点で勝負します。(アナウンサー)
“強い浜野”今度こそ/第3回
地元・山陽での選手権。今度こそ、浜野淳(33)が自信を取り戻す格好の舞台といっていい。それは今から6年前、今回と同じ山陽での選手権。最終コーナーで池田政和を逆転し、劇的な優勝を果たした思い出のレースだからだ。
その後もSGとなれば必ず優勝候補に名を連ねたが、絶頂だった03年9月を最後に、自身の不注意でSGレースから1年以上遠ざかった。それから現在まで丸5年もの間、SGはもとよりG1、G2の優勝からも見放されている。「選手生活一番の壁です」。ビッグレースでもほとんど目立たないその姿は何とも寂しい。
しかし「あの走りをもう1度」とここ数年、ひた向きに整備に取り組んでいる。その努力が実を結び始め、船橋のG1オート祭では優出。選手権に向け、自らを「今、SGで優勝争いする選手の足元にも及ばない存在です」と分析したが、上り調子だけにSG3冠の底力は侮れない。
地元SGでも「僕なんて誰も注目してないでしょ」と苦笑い。確かにあの“強い浜野”の姿にはまだ遠い。しかし結果が何よりの自信となるはず。3日目6Rは、準決へ3着までが条件。ここをクリアし、さらに優出というハードルを乗り越えたとき、かつて一世を風靡(ふうび)した勇姿がよみがえるはずだ。(アナウンサー)
“山おろしまくり”高橋義に注目/第2回
レース実況をしながら、ダイナミックなまくりにはワクワクする。川口の高橋義弘(25)こそ、今や山おろしに似たまくりでファンを沸かせる。かつて新人王戦で激しい落車、「インに攻めていくのが怖い。誰も走らないような外からレースをしよう」。これが今のスタイルの始まり。時に、外にこだわり抜きあぐねることもある。先輩から「もっと内に行けば?」とアドバイスされても“初心”は忘れない。師匠の高橋祐一からも「誰に何を言われても、今の走り方は絶対に忘れるな」。
そして先月のGPで、連日のS遅れながらも強烈に追い込み、その名を上げた。「前とどんどん差が詰まるし、自信になった」と大舞台で渡り歩く手応えを感じた。
今回は自身2度目の選手権。昨年が初出場で7、4、7、3、3着とほろ苦い結果。「よーく覚えています。みんなフライングぎりぎりのスタートですね。もっと自分もSを攻めないと」と日本一決定戦ならではの教訓も得た。初日はさばかれて4着だったが、スタートは切れている。山陽バンクとの相性についても、「若獅子杯でマシンは動いていたし、データはある」なら、楽しみが広がる。おはこのまくりで再びスタンドを揺るがすか。(アナウンサー)
SG制覇へビンゴか!東小野正道/第1回
結婚披露宴の2次会では恒例のビンゴゲーム。縦、横、斜めすべてリーチがかかっていても負けてしまうキャラクターこそ飯塚の東小野正道(34)。自身も、その典型と語る。予選は誰よりも強い。でも決勝で「もう1歩」というシーンは数え切れない。それが毎年、最多勝選手として表彰されながら、SGは無冠という結果が物語っている。
今年はオールスターで同期・有吉、GPでは永井に先を越された。同期が目覚ましい快進撃を続ける姿を横目に「ここまできたら見て見ぬふり」と持ち前のジョークを飛ばしたが、本音は「大介(永井)の胴上げに参加できなかった自分が情けない」と胸の内を明かした。
8月に落車で右手首を複雑骨折、戦線離脱を余儀なくされたが「焦りはない」と自らに言い聞かせた。しかし戦列に復帰した直前の地元開催でも再び落車。幸い大事には至らず、ひと安心だが、もうここまで来れば怖い物はないだろう。「少々ハンドルが曲がっていようが大丈夫」とは彼らしい。
今月27日の飯塚・ファン感謝祭で「次(選手権)は勝って」と沢山のファンに激励され、勇気をもらっての山陽入り。さながら25期イヤーの今年。この選手権で待ちに待ったSG制覇へついにビンゴなるか、まずは初日の走りに注目したい。
◆堂前英男(どうまえ・ひでお)1975年(昭和45年)10月15日、東京都生まれ。日刊スポーツレース部を経て、アナウンサーに転身。現在、川口を中心に全国のオートレース中継や、競艇などで実況も務める。