過去のレース ~2003年~
西村がインから逃げ切りSG初制覇
西村勝(29=埼玉)が、地元水面で春風のようにさわやかに逃げ切り、SG初制覇を果たした。「第38回総理大臣杯」優勝戦は30日、埼玉・戸田競艇場で行われ、1号艇の地元・西村がインからトップスタートを決め逃げ切った。初日SG初勝利で水神祭をした男が、G1を飛び越えて一気にSG初優出初優勝まで上り詰めた。2着は山崎智也が2周1M、今村豊をツケマイに沈め確保。総理大臣杯は、99年児島の今垣光太郎から5年連続でSG初制覇選手の優勝となった。
思わず右手を突き上げていた。栄光のゴールへ飛び込む50メートルも前から、西村は右手こぶしを3度、4度と地元ファンが埋めるスタンドに向かって突き上げた。「SGの優勝戦はいつもテレビで見ていた。自分ならどうゴールするんだろうと考えたことはあったけど、自然に上がってました」。まさに初々しい優勝だった。
西村は昨年年頭、地元戸田での総理杯開催が決まって具体的な目標を立てた。「年間5回優勝して出場権を獲得する。出場したらいいエンジンを引く。準優で1つでも好枠の成績を取る」。一番の難関は出場権獲得だった。12月半ば桐生で4度目の優勝を飾ると、続く地元戦、大みそかの優勝戦でインから逃げ切り、最後の最後で総理杯出場を決めた。
シリーズに入ってからはとんとん拍子。今村と節一を競うほどの快速仕立てエンジンで1戦目にSG初勝利を飾ると、準優は2コースからまくり、優勝戦1号艇をゲットした。そして外を寄せ付けないトップSでの逃げ切りV。「走り慣れた地元水面が最大の武器でした。1Mは思い通りのターン、いつもの戸田のイン逃げができました」。
それでも西村は「SG優勝なんて信じられない」と言う。応援にきていた同じ競艇選手の妻川田久子(32)も「びっくりしました」と女子王座戦で痛めたヒザの痛みを忘れるほど、はしゃいだ。
SG覇者となり、これからの抱負を聞かれた西村。「まず10月にある戸田ダービーの権利を確保したい」と話したのだが、報道陣から「SGは1年間出場権がある」と指摘され大爆笑。「G1タイトルも取りたいですね」と慌てて訂正した。「SGを勝ったことを誇りに思ってやらないと。タイトルに恥じぬよう努力してダービーも勝ちたい」。戸田水面が新しい地元のスターを誕生させた瞬間だった。 【中川純】