保田さんモンキー乗り普及させ競馬変えた
保田隆芳氏(享年89)の死去を、多くの関係者が悼んだ。トウショウボーイで有馬記念を勝った武邦彦元調教師(70)は温厚な人柄をしのび、公私にわたって目をかけられた郷原洋行師(65)は騎乗技術に心酔した記憶を呼び起こした。
騎手時代名人と呼ばれた武邦彦氏は「いい思い出しかない。素晴らしい人。穏やかで本当に人思いだった。あの方のおかげで大きなレースも勝たせてもらった」と感謝した。天神乗りからモンキー乗りに転じる際は「見よう見まねで覚えた。あのころは保田さんの影響で、皆乗り方が急に変わった。ボーイに乗っていた時は、府中のご自宅にもお邪魔して教わった」。トウショウボーイには5回騎乗して3勝。76年有馬記念と77年宝塚記念を制覇した。「乗り方には何も一言も言わなかった。勝ったらニコッと笑う。ただそれだけだった」とすべてを任せてくれた心の広さをたたえた。
保田厩舎から多くの騎乗依頼を受けた郷原師は「雲の上の人。かけ離れた存在」と語る。いち早く短いあぶみで乗っていた野平祐二騎手は異端視されていたが、保田さんがモンキー乗りを始めてから普及したという。「フォームを変えたのは40歳ぐらいだったと思う。その年で変えるのは大変なこと。緻密(ちみつ)な計算をする保田さん、祐ちゃん(野平騎手)はきれい、伊藤竹男さんは豪快。この3人のまねだけはやってみようと思って、何とか自分の形をつくっていったんだ」。ダービー2勝騎手の郷原師も、大きな影響を受けていた。
「あんちゃん、こっち来て飲め」と気さくに若手を酒席に誘った。大好物のウイスキーの角瓶を1本あける酒豪でもあった。そして決して乱れない。騎手会長、調教師会長を務め、仲間の信頼も厚かった。競馬界の至宝。安らかに。【岡山俊明】
[2009年7月3日8時43分 紙面から]
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