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ソニックひと夏の成長物語/新潟2歳S

サイレントソニック(左)はクリミナルコードと併せ追い切った
サイレントソニック(左)はクリミナルコードと併せ追い切った

<新潟2歳S>

 新潟2歳S(G3、芝1600メートル、5日)で夏の2歳王者を狙う各馬が東西トレセンで追い切られた。ディープインパクト産駒初の重賞制覇を狙うサイレントソニック(牝2、国枝)は美浦ポリトラックで格下馬を圧倒。1週前は坂路でアパパネと併せて互角の動きを見せており、1番人気で2着に敗れた前走ダリア賞からの巻き返しへ好気配だ。

 ひと夏の甘酸っぱい経験が少女ソニックを精神的にも肉体的にも成長させた。

 5月26日、見知らぬ土地美浦の寄宿舎に着いたとき、少女はなにもかもが不安だった。ここはどこ。何周走ればいいの、どのくらいの力で走ればいいの。周りには、厳しい先輩馬や1歳年上の女帝アパパネがいた。440キロあった体重は6月中旬に426キロまで減った。暑さもあって食欲がなくなった。

 寄宿生を指導する佐藤助手は「前向きすぎる子。怖くて、デビュー前は角馬場の運動ばかりでコースになかなか出せなかった。あのときが一番精神的に追い込まれていたかもしれない」と振り返る。6月26日、福島のデビュー戦で少女は1番人気に支持された。好スタートから最後まで先頭でゴールを駆け抜けたが、まだ才能を生かしきれてはいなかった。ディープの子と一目を置かれ、重圧だけが日増しに高まった。

 8月7日、再び1番人気に支持されたダリア賞で少女は挫折を味わうことになる。スタートで立ち上がり、道中で掛かった。「4角で加速しようとしたときに前に入られたのが痛かった。最後は伸びていたが」と寄宿舎を経営する国枝師は唇をかんだ。国枝師と佐藤助手は少女に夏の宿題を与えた。「ソニック、落ち着いて走ってごらん。君はまだまだ伸びるはずだ」。少女は食べて440キロ台後半まで馬体を増やした。コースでの追い切りでも力を出せるようになり、先週は坂路で女帝に食らい付いた。「併せたことに特別な意図はなかったが、自分より強い馬と走ったことは自信になるんだ」と国枝師。アパパネの4ハロン49秒台は下回ったが、50秒5-11秒9という2歳馬としては破格の時計をマークした。福田調教厩務員が「アパパネが仕上がり途上とはいえ、ソニックのほうが手応えが良かった」と話すほどに少女はたくましくなった。

 そして、1日。少女は朝もやの中、抜群の走りを見せた。5ハロンからスタートし、3馬身後方からクリミナルコード(3歳未勝利)を追いかけた。コーナーで真後ろに付け、しっかり壁をつくって折り合ってから直線は馬なりで突き放す。しまい12秒5で4馬身先着。「反応良すぎるくらい。間違いなく前走よりいい。落ち着きが出て、筋肉の質も良くなってきた。レースではまだジリジリとしか脚を使えていなかったけど今度は切れる」と佐藤助手は絶賛した。ああ、少女は音速で成長していくのだ。【木南友輔】

 [2010年9月2日8時22分 紙面から]


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