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ウオッカよりスカーレット勝機/有馬記念
中央競馬の総決算・有馬記念(G1、芝2500メートル、23日=中山)で、注目の的は史上最強世代といわれる3歳牝馬2頭だ。並み居る牡馬、古馬に通用するのは果たしてどちらか? 数々の歴史的牝馬を育て上げ、今年2月に調教師を引退した伊藤雄二氏(70)がウオッカ(牝3、栗東・角居)ダイワスカーレット(牝3、栗東・松田国)を大胆に分析。有馬記念にも牝馬で果敢に挑戦してきた自らの経験をもとに、ダイワスカーレット有利との結論を導き出した。
牝馬で有馬記念を勝つ難しさを誰よりも分かっているのが、元調教師の伊藤雄二氏だ。エアグルーヴ、マックスビューティ、ファインモーションという名牝で挑みながらも3着が最高。「有馬には、あまりいい思い出はない」という言葉に悔しさがにじみ出ている。今年の話題の中心は、牝馬として64年ぶりのダービー制覇を果たしたウオッカ。牝馬づくりの名人も、その実力を高く評価する。
伊藤氏「接戦とか恵まれたのでなく、あっさりと勝った。相当の能力を持っていることは間違いない。今年の3歳牝馬は切れだけでなくスタミナを持っているが、中でもウオッカの爆発力は抜けている」
しかし、スタミナに加えて底力を必要とする2500メートルでは牡馬に利がある。3歳牝馬のレベルの高さを認めてはいるが今回に限ればウオッカは苦戦とみる。
伊藤氏「4着まで追い込んだジャパンC(前走)は上出来だと思う。四位騎手の好きな競馬のパターン。ただ、今度は中山。同じ競馬では届かないということを覚えておく必要がある」
負けて強しの印象を与えた後だが、直線が短い中山で同じ手は通用しない。追い込みにくい状態となっている今の芝も致命傷となりかねない。
伊藤氏「ポイントは馬場状態。今年の中山は、例年よりも内ラチ沿いの芝がいい。大外を回って追い込んでいてはダメ。どこかで内に潜り込む必要があるが、2500メートルというのは外枠に入ってしまうと中に入るのが難しい。終始コースロスを強いられる。だから枠順が重要な要素になる」
加えて指摘するのがコース適性だ。衝撃のパフォーマンスを見せつけたダービーとジャパンCは、どちらも左回りで直線の長い東京競馬場だった。右回りの阪神や京都では、爆発力が影を潜めるケースも目立つ。
伊藤氏「東京とほかの競馬場とで、見せる走りが驚くほど違うのも気になる」
一方で、臨戦過程への不安は否定した。
伊藤氏「ジャパンCからだが、エリザベス女王杯を取り消していることで、そこまでが楽。まだ、余力は残っている」
能力、状態面では強調できる1頭。だが、コース適性の疑問が、それらを上回る。「力は認めても、厳しい材料が多い」というのが最終的な判断だ。
伊藤氏が古馬打倒の可能性を見いだすのがダイワスカーレットだ。
伊藤氏「古馬に勝つ可能性があるとすればこれ。燃え尽きていない。レース間隔も十分だし、ジャパンCのような激しいレースを使っていない。牝馬は秋華賞やエリザベス女王杯にピークを定め、余力が残っていないことが多い。ファインモーション(02年=5着)はギリギリで維持していたが、牡馬に勝つには維持では難しい」
安藤勝騎手が引き続き騎乗するのも魅力。97年エアグルーヴは武豊からペリエに乗り替わり、微妙な部分で力を出し切れなかった。
伊藤氏「ファインは流れが落ち着いた瞬間、リズムを崩された。牡馬と互角に渡り合うには思うような競馬ができるということが普段以上に重要。絶好調のアンカツなら、マークされても好位でうまく乗ってきそうだ。中央移籍当初は力で馬を御してやろうという気持ちを強く感じた。今はぎくしゃく感がないからね」
ただ、不安もある。
伊藤氏「ちょっと距離が長い。僕が預かった半兄(母が同じ)スリリングサンデーは長距離で実績を残したが、体が長く出たのが理由。スカーレットはある程度持ちそうな体形だが、2500メートルがいいとは言えない」
母スカーレットブーケも伊藤氏が管理していたが、中山で2戦2勝。騎手と血統の後押しで距離の不安を補えば、一発があっていい。
[2007年12月18日8時44分 紙面から]
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