■ 第7回 遠藤章造 VS 松井稼頭央(西武) ■

 なんと取材中に、同じマンションに住んでいることが発覚した2人。意外な共通点が飛び出して、これを機会に「ご近所付き合い」がスタートすることに。同じ屋根の下。初対面とは思えないほどのアツ〜イトークは、尽きることがないのでした…(プロ野球ai2002年7月号)

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遠藤 実は、同じマンションに住んでるんですわ。
松井 やっぱりですか〜。うわさは聞いていたんですよ。
遠藤 いつか挨拶しようと思ってて、なかなかチャンスがなかった。今回のこの対談は、僕的にもいい機会でした。こうしてゆっくり話すのは初めてですからね。
松井 そうっすね。楽しみでしたよ!

遠藤 ホンマですか? 実は、僕、松井君のPL時代から知っているんですよ。
松井 ホントっすか?
遠藤 高校の頃から、“コイツは出てくるな”ってチェックしていたんです。96年の日米野球の時に注目を浴びた時は、おぉ〜あの時のPLの選手や〜って。
松井 ホントですかぁ?
遠藤 ホント、ホント! もう、そっから、飛ぶ鳥を落とす勢いだったからね。お金もイッパイもらうようになって…。
松井 (笑)同じマンションに住んでるじゃないですか。
遠藤 ランクが違いますよ、松井君とは。オーラが出てますもん。同じ駐車場に止めてますけど、車のオーラが違うもんね。ほわ〜んとネ。
松井 子供が乗ってるからね(笑)。

遠藤 なるほどね(笑)。さて、今の調子。悪くはないですよね?
松井 えっ!? 悪いっすよぉ。
遠藤 それでも、2割9分やろ?(5月8日現在)。
松井 去年は右は全然ダメだったのに、それがいいんです。逆に今年は左がいまひとつなんです。
遠藤 数字では、どこを好不調のラインにしているの?
松井 悪くても1本は打ちたいですよね。
遠藤 2割9分で悪いって…。阪神の選手に怒られるよ、マジで。
松井 数字的には行ったり来たりしていても、気にはしないようにしていますよ。でも、バックスクリーンに写った打率は思わず目に入りますからね。
遠藤 あ〜、やっぱり見るんや。それじゃあ、今、結構悩んでいる?
松井 そうですね。

遠藤 試合が終わっても、ひきずるタイプ? 例えば、家に帰ってからでも。
松井 調子が悪いとビデオを見たり、バットを振ったりはしますけどね。
遠藤 家に持ち込む人と、持ち込まない人といますよね?
松井 持ち込まないタイプですよ。ユニホームを脱いだら、忘れるようにしています。でも、ここ最近は、ちょっと違うかな。
遠藤 どんな風になるの?
松井 一切考えないでおこうと思っても、家に帰っても野球のことが頭から離れない。気分転換が難しいですね。
遠藤 そんな時は、ウチを訪ねてきてよ。なんぼでも笑わせますわ。言うてもご近所さんですからね。アホみたいな格好で出迎えますよ。“クヨクヨしなくていいよ”ってな勢いでいくからね!
松井 (笑)ホンマですか?
遠藤 サイクルヒットっていう食べ物出したり…いろんな形でもてなししますわ。

フォーム改造。ヒットの確率をあげるために(松井)

松井 でも、最近はかなり開き直りましたけどね。悩んでも落ち込んでも一緒。だって、バッティングにこれってないと思うし。フォームは毎年変わるものですからね。
遠藤 その中で今年はこうしようっていうものがあった?
松井 ありましたよ。簡単に言うと、バットのヘッドを入れないフォーム。僕、左でも右でも、ヘッドが入ってしまうんですね。でも、いいバッターってバットをしっかり立てているんですよね。
遠藤 それでも、去年は3割っすよ。
松井 だけど、ヘッドを入れたフォームで、飛ぶかもしれないけど、確率は落ちますよね。
遠藤 でも、去年の打順は1番か3番。3番なんて、ある程度長打を期待されるところでもありますよね。
松井 それもありますよね。しかも去年はホームランが打てはじめたので、自分の中で勘違いして、もっと飛ばそうって思うようになって。余計、遠くに飛ばすためにヘッドが入っていくんです。ボールを捕らえる面を長くして、ホームランよりも、ヒットを量産するためにも、ヘッドを入れたくないんです。
遠藤 自分の中では、3割5分と30本とどっちに比重を置いている?
松井 やっぱり3割5分ですよね。
遠藤 で、盗塁でいくつ走れるか、って感じ。しかも、今年は1番バッター。
松井 そうですね。でも、1番だから、塁に出るためにアベレージを意識するんじゃなしに、その前に自分自身。より高い打率にするために、確実性のあるバッティングにしようと。そのためにフォームを変えたんです。
遠藤 なるほどね。
松井 当然1番の役割もありますけど、確実性を求めることで、チームのために結果も残せるし、1番の役割も果たせる。

遠藤 実はね、僕も松井君とかぶってるところがあるんですよ。ま、言うても高校生のレベルですけどね。高校2年では1番。長打力もなかったし。インコースを無理やりライト前にもっていったり。常に右、右っていうバッティングが好きやったからね。それが、3番になったとき、なぜか長打を打ちたいって思うんですよね。
松井 そうなんですよ。それまでは、バッターボックスに入ると、内野のちょっと上にしか目線がいかなかったのが、3番になったとたん、なぜかスタンドが視野に入ってきちゃうんですよね。
遠藤 そうそう、僕も、フォームを崩したわ。
松井 飛ばそうと思うから、無駄なフォームになるんです。
遠藤 アマチュアの意見ですけど、わかるよ。でも、やっぱ松井君、すごすぎるよ。率が悪いっていっても、これで悪いのって感じやわ。
松井 ありがとうございます。自信をもっていることはいいことだと思いますけど、過信はしてないですね。相手に負けたくないっていう気持ちはありますよ。そのためにも、自分はこれだけやったっていう自信をもって、1打席に臨んでいます。

まつい・かずお 1975年10月23日、大阪府出身。177cm、83kg。右投両打。PL学園から93年ドラフト3位で入団。血液型O型。98年MVP。99年最多安打。97年〜99年盗塁王、97年〜01年ベストナイン。今年は、1000試合出場、100ホームラン、300盗塁の記録がかかっている
自分の野球を充実させること。
それが、チームの勝利へとつながる

遠藤 もちろん、これからはチームの中心としてっていう気持ちもある?
松井 それはありますよ。でもね、伊原さん(監督)は自分のことをして、役割を果たせって言うんです。当然、みんなそれぞれに家族がいて、生活のためにやらなければいけない。まずは、自分のことをしろ、と。
遠藤 へぇ、そうなんや。
松井 コーチも、点差が開いたりすると、「もう自分の成績だけを考えろ」って言うんです。自分の成績のために打ってこいってね。そうすると、集中力が切れることなく、打席に向かえるんですよ。こう言ってくれるのは、うれしいですよね。それが、結果としてチームのためになるんですよね。
遠藤 これまでの“常勝軍団・西武“のイメージとは違うよね? これまではチームの方が優先されてた気がするけど?
松井 役割はきちんと果たすという意味では一緒ですよ。

遠藤 そんな中で、今年、松井君の目指すところは?
松井 1番で140試合に出たいですね。連続試合の記録がかかっているんです。今年はあと、100本塁打、300盗塁の記録もかかっているんですよ。
遠藤 記録イヤーっすね。これができたら優勝っすよ。
松井 頑張りますわ。
遠藤 まずは、ご近所付き合いから…。いつでも、遊びに来てください。
松井 はいっ!
遠藤 しょうゆ切れたら借りに来てええよっ!

取材/保坂淑子 撮影/黒ア彰
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