■ 第11回 遠藤章造 VS 藤井秀悟(ヤクルト) ■

 テレビでの共演がきっかけで仲良くなった、という二人。昨年は、遠藤君の婚姻届の保証人になったという藤井選手。いつしかただならぬ!?関係の二人。今では、家族ぐるみの深〜いお付き合いが続いています。スポーツ界と芸能界。互いに生きる世界は違っても、そこに身を置く思い、悩みには共感するものがあるようです。そこで、今回はそんな二人の仲のいいところから、柄にもなく!? 真剣な話まで。じっくり語ってもらいました。 (プロ野球ai2003年3月号)

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他人のようで他人じゃない!? 二人の間には、深〜い絆が!!

遠藤 なんか、あらためてこういう形で話をするって変な感じやなぁ。
藤井 ホントですね。

――よく一緒に食事したり、電話しているそうですね。

遠藤 そうそう! もう家族ぐるみのお付き合いですわ。
藤井 でも、初めて会ったのって一昨年前のテレビ番組の収録ですよね。
遠藤 そうそう。“最多勝、藤井君の球を打てるか”っていう企画があったんですね。それがきっかけで遊ぶようになった。でも、これ初公開ネタですよ。僕、去年の7月に結婚(タレントの千秋さん)したんだけど、婚姻届に保証人の名前を書く欄が2箇所あるんですね。翌日公表することが決まっていて、絶対に公表前に婚姻届を出したい。そんなときに、たまたま夜、食事をしたのが藤井君。一緒にいたウドちゃんと一緒に立会い人になってもらったんだよね。
藤井 アハハハ!  そうそう!ちょうど印鑑を持ってたんですよ。

――もう、一生のお付き合いですねー。

遠藤 でもね、天下の藤井秀吾に立会い人になってもらうなんてすっごいでしょー。切っても切れない仲になったね。

――お互いに知り合いが多い中で、ここまで仲良しになれるのは珍しいですよね?

藤井 そうなんですよね。ほとんどが、その場で終わることが多いんです。でもね、僕、スポーツ界でも、野球に限らず他の種目。芸能界でも俳優、歌手、お笑い。と、とにかくたくさんの人と話がしたいんです。そこから得ることってたくさんあると思うんですよ。
遠藤 先日も、プロゴルファーの今野康晴君と一緒に食事をした時に、藤井君にも声をかけたら来てくれて。そのときもいろんな話をして、お互いに連絡先を交換して。ちゃんと次につなげようとしてくれてね。この世界、その“つながり”が大事だと思うんだよね。
藤井 僕自身も、そんなに芸能界の知り合いが多いわけじゃないので、ここまで仲良くしてもらって嬉しいんですよね。

――藤井選手が遠藤君と話しをする中で得ることって?

藤井 やっていることは全然違うけど、それに対しての話とか、気持ちの入れ込み方、考え方は、僕の考えと似たようなところがあるんです。例えば相談ごとをしても、いろいろな経験をしている人だから、いいアドバイスをしてくれるんです。後はただ単純に好き。一緒にいて楽しいんですよね。
遠藤 人間っていろんな人と会うけど、合う人と合えへん人といるからね。

――どんなアドバイス?

藤井 例えば人との接し方とか、上下関係の話しとか。野球の結果とかがすべてじゃないけど、先に出てしまうことだから。話をすると、こうこうしたほうがいいよーって。
遠藤 もう、ここまでの選手やから俺がとやかく言うことはないとは思うんだけどね。
藤井 最初は、遠藤さんは阪神ファンだから、僕の悩みを受け入れてくれるかなーって思っていましたよ(笑)。
遠藤 こういう仕事がきっかけで藤井君と普段から、お付き合いさせてもらっているじゃないですか。ましてやヤクルトのエース。もちろん阪神と対戦するときはめちゃめちゃフクザツ! 藤井君に好投してもらいたいし勝って欲しいんやねんけど、阪神にも勝って欲しいし…。
藤井 僕、阪神戦でホームラン打たれたり、点が入ったりすると、あ〜今頃、テレビの前で遠藤さん、喜んでいるんやろーなーって試合中に顔が浮かんできちゃったりするんですよ(笑)。
遠藤 アハハハ〜! マジで〜?
藤井 ハイ! 勝ったときは、試合後に連絡しようと思いますけどね。
遠藤 そうそう。阪神戦で完封したとき、連絡くれたよね。“すいません勝っちゃいました”ってね。
藤井 去年は阪神戦。負けナシですからね。

2年目でタイトル。3年目は二桁勝利。順風満帆な野球人生?…その中にも、本人にしかわからない苦しみが…
ふじい・しゅうご 1977年5月12日、愛媛県生まれ。175cm、86kg。左投左打。今治西、早大を経て、99年ドラフト2位で入団。2001年には、プロ2年目にして14勝をあげセ・リーグ最多勝、ベストナインを獲得。一躍、球界を代表するピッチャーの仲間入りを果たした。血液型A。背番号18。

――遠藤君が思う藤井選手の魅力って?

遠藤 僕よりも、年は全然下なのに、2年目にして最多勝とってるんですよ。最多勝なんか取りたくても取られへんタイトルでしょう。20年、野球をやっていて、タイトル争いをするだけでもすごいのに、2年目で獲得。それなのに、ひとっつも偉ぶることなくて、そればかりか“僕、ホントに大丈夫ですかね?”って言うのよ。これから10年後にFAを獲得して阪神にきてやーって言うても、“自分、FA取るまで野球やってますかね?”なんていうの。例えば、食事に誘っても、“僕のこと、知ってますかね?”ってね。
藤井 そら、普通に思いますよ(笑)。
遠藤 知ってるよ! タイトル獲得したんだから、もう有名人やがな!
藤井 それは今でも思いますよ。
遠藤 ホラ〜。藤井君は、天然で思ってるからね。成績から言えば、もっと胸を張ってもいいのに、“僕なんてまだまだ”って言う。でも、逆に言えば、この先まだまだ伸びる可能性を持っているってことでしょう。
藤井 いや、最多勝ってタイトルはすごいし、自分でもよく頑張ったなとは思いますよ。でも、遠藤さんの世界と比べたら、また、全然違いますからね。
遠藤 じゃあ、どっちがすごいって話になったら、分野は違うけど、そりゃあ藤井君の方がスゴイやんか。俺ら、芸能界で賞を取ったこともないしね。
藤井 でも、なんだかんだ言っても、まだ3年目が終わったばかりですからね。もっと自覚を持たないといけないと思いますね。

遠藤 タイトルを取った一昨年から去年のシーズン。何か取り組む姿勢を変えたことってあるの?
藤井 去年のシーズンは微妙な時期でしたよね。自分に気を配らなくてもいいから、自由にやらせて欲しいって思っていたんです。でも、1勝の価値感は確実に変わっていて、一昨年前は1勝したら、「よかったなー」って言われたのに、去年は1勝が当たり前。自分の中では頑張ってるのになーって思うのに、でも、それが当たり前って思わないといけない。その気持ちの切り替えが難しかったんです。例えば、首脳陣の信頼を得て巨人戦での登板が多いのに、自分の中では、まだ3年目なのに、なんで僕ばかり巨人戦で投げなきゃいけないの? って自問自答したりね。うまく割り切ってしまえば、よかったんだけど、去年はそれができずに、ずっと悩みながらやっていたように思いますね。
遠藤 気持ちの切り替えっていう部分では、今年は一番しんどかったかもしれないね。
藤井 チームの中心だと思って、やらなきゃいけないのかもしれないけど、自分はまだそこまでの選手だと思っていなかったのもあったから…。
遠藤 そういう星の下に生まれているからね。それが、例えば10年プロのメシを食ってて、11年目くらいから活躍したら、ある程度、年下の選手も多いし、その自分の活躍に自分でも納得がいくやろうけど、3年目でそういう立場に置かれるのは難しいよね。
藤井 一久さん(石井一久=ドジャース)がいてくれれば、その下で頑張りますよーって言えるのに、急にいなくなって一久さんの分まで僕にかかる期待が大きくなったんです。

――ちょっと重かった?

藤井 自分の中で割り切ることができなかったと思うんです。
遠藤 俺らの場合、この世界で11年目。俺らの世界もそうやわ。若い頃は、ダウンタウンさんとかさんまさんの番組に出て、ちょっとでも笑いが取れればラッキーって思っていた。11年やって、ようやく自分たちの番組をもって。今じゃあ仕切れて当たり前。それでも、俺らは11年。藤井君はまだ3年目やからね。そらぁ大変やろうなぁ。俺らでも11年やっても大丈夫かなーって思うのにね。

――去年はそういう意味で手探りのシーズンだったと?

藤井 実際に終わってみて、もうちょっと頑張る余地はあったかなーとは思うんですけどね。まぁ、成績を見れば頑張ったかなって思いますヨ。
遠藤 そんなん言うても、10勝! フタケタ勝ってるからね。
藤井 でも、周りは去年と比べるんですよ。それに、巨人戦で多く負けているから、負けの印象が強いんですよね。
遠藤 でも、そこで野球ができるということは、第一線で野球をしていること。そりゃあ確かに怖いけど、そこでプレーをしたいと思っている選手もたくさんいるだろうし。逆に、巨人戦で勝ったらその倍褒められるやろうし印象も強い。まさにプロフェッショナルの世界だよね。

――成績を上げても、悩みは尽きないんですね。

遠藤 ある種、贅沢な悩みやろうね。そんな中でフタケタ勝利をあげて、もう一皮剥けた今年の藤井君はすごいと思うけどね。

――技術と精神面がさらに充実した年になればいいですね。

藤井 そうですね。
遠藤 人に言われてもわからない。実際に自分で感じた1年やから強いよね。
藤井 そうですね。昨年の1年は自分の野球人生の中でも大きかったと思います。

テレビをつけたらおもろい遠藤。食事をするときはマジメな遠藤。両面見れるのはお得です!?

――さて、技術面での充実はどうでしたか?

藤井 昨年は「安定」を目指していたんですね。一昨年にいろいろ取り組んだことを底上げして、さらにレベルアップをしようと思って今年はやっていたんです。それがうまくいった年だと思いますよ。例えばタイトルを取った一昨年前は、“スライダーが曲がるかな〜”って思いながら投げていた。去年はそうじゃなくて、“自分のスライダーは絶対に曲がる。勝負で使える”と、自信を持って投げていたんです。そのおかげで、手探りで投げていた不安が減って確実性が増したんです。毎年、少しでも成長していかないと通用しない世界ですからね。自分でも今年はどんな成長ができるのか、楽しみですよ。
遠藤 あとはケガさえせんとね。プロ野球選手ならば、言葉に出さなくても、誰でも数字を求めているだろうし、優勝もしたいやろうし。でも、その原点。けがさえせんかったらいいと思うんですわ。
藤井 はい、頑張ります! 昨年同様、阪神の応援してくれるのはいいんですが、僕が投げているときだけはヤクルトの応援してくださいね。阪神の応援するのは、僕が降板してからにしてください(笑)。
遠藤 アハハハ! ちゃんと藤井君のことは応援してるよー。
藤井 いつもテレビをつけたら遠藤さんが出てますからね。試合前でも、緊張をほぐしてもらってますよ。
遠藤 でも、普段はマジメな話が多いよな?
藤井 そうですね。だから両面を見ているから、おもしろいんですよ。テレビではおもしろい一面を。普段はマジメな一面を。特でしょう(笑)? それに、遠藤さんはわからないと思うけど、ふと自分がしんどいなーって思っているときに、テレビをつけて遠藤さんがおもしろいこと言って笑わせてくれると、気分転換になるんですよ。今シーズンは、もっと会える機会が増えたらな〜って思います。
遠藤 そうやね。あの…できたら、一生の友達でいてな。
藤井 もちろんですよ! これからもよろしくお願いします!

撮影/黒ア彰 取材/保坂淑子
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