■ 第12回 遠藤章造 VS 岩本勉(日本ハム) ■

 この二人の顔ぶれ。大体、取材の様子は想像できるのではないでしょうか??? そりゃあ、もう漫才コンビのようなボケと突っ込みの爆裂トークでした。トントン話しは進み、マジメな話をおもしろおかしく話してくれるのが、二人の話術のすごさ! さぁ、楽しい二人のトークをお楽しみください。 (プロ野球ai2003年5月号)

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たった15分のトークがエンちゃん、ガンちゃんの仲に!?

――さて、お二人の出会いは?

遠藤 何か番組やったっけ?
岩本 そうや、イチバン最初に会ったのは、何かね西武球場に野球を見に来てたんやわ。
遠藤 多分、それ、テレビの収録やったと思うわ。同じ年やから〜って話をしたんやと思うわ。でも、オレからしたら、お〜ガンちゃんや〜って思ってて。
岩本 何を言うてますのん!
遠藤 いやいや、マジで。それがね、結構フランクに話してくれて。オレなんかに、目線を落として挨拶して話をしてくれたん。それから、ごっついガンちゃんのファンになってもうてやな。いろんなオフのテレビ番組でちょくちょく会うようになった。
岩本 はじめは月並みな挨拶やったな。同級生で地元も大阪で一緒です〜って。

岩本 阪神ファンやろ? まぁ、それはわかるわ。大阪出身の基本は阪神やから。他に何かあんのかなぁ〜ぐらいやろ。基本の基本! 野球少年で阪神ファン。小さい頃は、阪神の帽子をかぶったこと、あるやろ?
遠藤 あるある!
岩本 オレもあるもん。かぶってたよ。
遠藤 やっぱり、共通点が多かったからかなぁ。そのときに10分〜15分くらいしかしゃべってへんのに、“ガンちゃん、エンちゃん”の仲になってやな。
岩本 よう考えたら、章ちゃんやろ? 普段はなんて言われてんの?
遠藤 昔は“えんちゃん”やったけど、最近は後輩が増えてきて、“エンさん”って言われてるわ。
岩本 オレは今でも、ガンちゃ〜んやわ。
遠藤 “ガンさん”って言われてへん?
岩本 言う人間もおるけど、最近は、下の人間も酒に酔うと平気で「ガン!」とか言うしね。普段でも付き合いが長くなったら「ガンちゃん」って言うで。そら、ルーキーや2、3年目の選手は言わへんけど。でも、一緒に酒飲みに行ったりすると、性格上、仲良くなってまうな。
遠藤 そうやねんな。一緒に飲みに行って、おごることが多くなる年代にきているわけよ。チームを引っ張っていかなアカン存在やろ?

――選手会長ですしね。

岩本 でも、あんまり知られてへんのよ、オレが選手会長だってこと。もう3年目やからね。片岡さんが阪神に行ったのに、「選手会長って片岡さんちゃうの? あ! 阪神に行ってんなぁ」ってよう言われたわ。
遠藤 月並みな質問やけどさ、ピッチャーで選手会長って野手の選手会長とは違う? ピッチャーで選手会長ってあんまりいないでしょう?
岩本 お〜、よう知ってんなぁ。グラウンド離れることが多いから。そやからキャプテンを設けるんや。今はそれがガッツ(小笠原選手)。なんやかんや言うて、人前にスーツ着て出なアカン時はオレがやったるから、リーダーって言ったら、ガッツがいけと。やっぱり野手が一番、たくさんの選手の目につくところにいるからね。
遠藤 基本的な質問してええ? 選手会長って誰が決めんの?
岩本 監督やね。今の言葉で言う、カリスマ性を見て、こいつならみんなが付いていくなぁって。俺の前が片岡さんで奈良原さん、田中幸雄さんやったんや。まぁ、ユニホームを脱いだ社交の場での選手会長は俺が担当してるけどな(笑)。
遠藤 日ハムって言うよりも、今や日本プロ野球界の社交の場の顔になってるからね。
岩本 そやけど、そろそろ成績をちゃんと残さないと、ただのうるさいヤツやと思われてまうからな。しっかりせんとな。

東京ドームの気圧は侮れない!

遠藤 今の調子はどうなん? 大丈夫? オープン戦打たれてたで。
岩本 今度、データをほじくって見て欲しい。シーズン働いているピッチャーはオープン戦、打たれているから。
遠藤 あ、そうなん?
岩本 …って毎年言うてる!

一同爆笑

いわもと・つとむ 1971年5月11日、大阪府出身。182cm、87kg。右投右打。阪南大高から89年ドラフト2位で入団。昨年は肘を痛め、シーズンを棒に振った。今年は完全復活を狙う。日本ハム選手会長。血液型A型。背番号18。
岩本 斎藤雅樹さんにしても、桑田さんにしても。やっぱり打たれるのよ。特にホームランね。そこで、ゾーンを下げないといけないとか。確認して公式戦に入るんよ。変に勢いついて、高めの球で抑えてそのままシーズンに入ったらすぐにつかまるからね。これ、ホンマの話。
遠藤 ほんで、自分のピッチングで気づくことはあったん?
岩本 一番思ったことがあって。去年、けがで1年なんもやってへんで、1年ぶりの実戦のマウンド。やっぱり今のバットとボールはよく飛ぶな、と思ったね。
遠藤 あ、そうなん。たかが1年。されど1年やねんけど、ブランクって大きいんや。

岩本 忘れかけてたものやったね。しかも、去年の4月18日以来に東京ドームで練習したんやけど、ボールが落ちてくるスピードが遅いの。沖縄でキャンプして、オープン戦は地方球場でやってたでしょ。東京ドームは飛ぶ飛ぶとは思っていたけど、ホンマに落ちてけぇへん。
遠藤 へぇ〜。
岩本 まぁ、理屈で考えたらわかることやねん。何十トンもある屋根を下から気圧で上げてんねん。おてんとさんからの気圧に逆らって上げているから、球だって上がりやすくて、落ちてくるスピードが遅くなるわけや。
遠藤 へぇ〜。初めて知ったわ。
岩本 タイミングをずらされても、パチンと力を入れたら、気圧に乗って飛んでくれる。東京ドームってできたときに、物理学的に考えると、右バッター。例えば清原さんが、右方向の看板に打球を当てるなんて考えられない。松井が天井に当てるなんて考えられへんって言われていたんやで。しかも、もう何年も経ってるから埃で屋根が重くなってるでしょう。逆に下からの気圧もガンガン上げなアカン。球がガンガン上がるんよ。しかも資源が少ない。アオダモの木が少ない。折れないように、バットを締める。ボールも資源が少ないから痛まないように締めるでしょう。コンコン飛ぶ飛ぶ!
遠藤 そら、ホンマ、ピッチャーにしたら辛いよね?
岩本 そやから、上原君が東京ドームでの勝利数が多いってことは、もっと評価をされてもいいことだと思うんよ。
遠藤 ホンマやね。
岩本 オレの意見やけどね。

遠藤 なるほどなぁ。でもさ、来年から札幌ドームやんか。これはまた違うんかな?
岩本 オレは期待してる。鉄の屋根(東京ドーム)と風船のように膨らませている(札幌ドーム)のとでは、気圧が違うしね。向こうは近代球場で広くもなっているでしょう。それに、何よりも専用球場があるのは嬉しい。もちろん、これまでだって、東京ドームがフランチャイズやったけど。ベンチの裏には、日本ハム用と巨人用のロッカーがあるわけ。でも、例えばアメリカンフットボールが来る、大リーグが来るとなった時にロッカーを空けないといけない。さて、どっちの球団のロッカーを空けるかと。ほな、ハムが空けましょか〜ってなるわけや。荷物まとめて出ます。また、イベントが終わったら中に入れる。それが大変やったからね。
遠藤 そら、テンションも違うわな。
岩本 でも、オープン戦帰ってきたチームの選手に聞いたら、札幌は3月はまだ雪やってな。
遠藤 そうや最高気温、マイナス3度とかやで。
岩本 ちょうどそのときはキャンプで最高気温20度超えてるところにおるのになぁ。暑いとこから、急に寒いところに行ったら、体もビックリしてまうわな。寒くてケツ毛抜けてまうわ!
遠藤 いや、そら抜けへんって!

ウェルカム吉本興業! いやいや、最後まで
オレはユニホームや!

――選手会長と選手の二役はキツクありません?

岩本 いや、オレの場合、選手会長になってから成績あがったんよ。何かのイベントの時に挨拶する程度やからね。プレーに支障あることは一つもない。一番困るのは11月。選手会、納会。しかも選手会の幹事やから、すべて情報網を広めなあかん。点呼すんのもオレやからね。誰が来た〜誰が来てへんの〜お前呼んでたっけ〜って大騒ぎや。
遠藤 アハハハハ! こんなこと言うてええんかなぁ。去年はオフの方が忙しかったんちゃう?
岩本 給料さがったからなぁ。稼がなアカン。しかも去年のオフに実家に家を建てたんよ。それだけならええねんけど、カーテンやら家具やら金がかかるかかる! それを稼ぐために、どんだけオフ活動したか!
遠藤 すっごいなぁ。よくな、鶴瓶師匠が言うねんけど、芸人は、ホンマにこの世界でしか稼がらへん。でも、プロ野球選手は、こうやって芸能界でもちょっとは稼げるでしょう。特にガンちゃんはねぇ。
岩本 オフのスケジュールは大変なことになってたなぁ。暇なプロ野球選手はさびしいぞって思ってたけど、こんなに忙しくて楽しかった。
遠藤 芸人でもいま、そんなに忙しい人、おらへんで。働きすぎや。ガ ンちゃん、吉本興業、入らへんの? 考えてるやろ?
岩本 いや、俺はね、ホンマの話、ずっとユニホームを着たいんよ。
遠藤 同じタレント名鑑に載る日も近いんかなぁ。
岩本 野球やるって! オレは今年、頑張るちゅうねん!
遠藤 そうやな。今年はやるんやな。頑張ってや。
岩本 おう! 去年ずっとケガで投げれんかったでしょう。その時のことを考えると、今、ボールが投げれることが楽しくてしょうがないんよね。打たれても、投げれるからどうにかなるって思うんよね。投げれるっていう鎧はすごいんやなって思う。去年なんて痛いから、何していいかわからなかったから。

――チームの顔が、2軍にいるジレンマはありませんでした?

岩本 めっちゃ勉強になったよ。自分の試合をガオラで100試合近く見たからね。他のチームのことも、気がつい たことをノートに書きとめておくんです。別にあとで読み返すことでもない。単に文字にすると覚えるでしょう。自分のチームのことも書いたよ。あと、自分が試合に出ているときには絶対に見られないベンチの雰囲気とかね。この選手はこういう顔してるんやなぁとかね。ホンマ、“2002年の岩本”は勉強になったね。“2003年岩本”はニューモードやから。
遠藤 今年は、変わったガンちゃんを見れるんや。
岩本 まだ不安はあるけど、何よりも投げれるっていう充実感は変えがたいものがあるからね。
遠藤 ただではコケへん。自力で立ち上がってこれるタイプや。
岩本 ただじゃあ終わらないで。最 後、くしゃくしゃになるまでやりたい。オレの人生、野球でまっとうしたいから。
遠藤 それがあるから、ガンちゃんのオモシロイ部分が生きているんだと思うよね。バランスやんか。だから、最後まで頑張って欲しいな。
岩本 パワーはまだあるで!

撮影/黒ア彰 取材/保坂淑子

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