まえがき

 本書では、障害予防、もしくはアスレティックリバヒリテーションから始まり、最終的には競技力そのものを上げるため「腹・背筋のトレーニング」について解説しています。

 筆者がなぜ、この腹背筋を取り上げたか。その大きな理由の一つには、かつて在籍したプロ野球・千葉ロッテマリーンズでの経験にあります。千葉ロッテは、非常に高い競技力を持ちながら、腰痛のためにそのパフォーマンスが満足に発揮できない選手がかなりいました。筆者が、腰痛に悩む選手と二人三脚で改善、予防にあたる時間は思いがけずかなりのものだったのです。

 その最たる例は、内野手の堀幸一選手。ベテランの田村藤夫捕手(97年ダイエーに移籍)もそうでしたが、地道なトレーニングの成果が実り、二人をはじめ多くの選手が腰痛を克服しました。そして、今も予防のために、定期的なトレーニングを続けています。その実績が本書に結びついたといえます。

 千葉ロッテに限らず、その前に在籍した近鉄バファローズでも、腰痛に悩む選手は多かったと記憶しています。プロアマを問わず、野球選手のかなりの人が、腰痛に悩まされていることは見逃しがたい現実といえるでしょう。

 その背景には、腰痛と密接なかかわりのある「腹背筋強化」に対する意識が、とても甘いことがあげられます。日頃からの強化の重要性を、この書をもって、多くの野球関係者に知っていただきたいと願い、発刊に至った次第です。単に腰痛予防だけでなく、人間の体の機能を、野球というスポーツに最大限発揮できるよう、今日からぜひ、腹背筋を積極的に鍛えることをおすすめします。

 人体の解説では、かなり難しい部分もあるかと思いますが、できるだけわかりやすく説明したつもりです。トレーニング効果を高めるためには、まず自分の頭で理解することが大切。実戦する前に、できるだけ解説をお読みください。

 また、本書をご覧になるのは、指導者や父兄の方もおられることでしょう。その中には、「腰回りのぜい肉が気になる、お腹が出て仕方ない」と頭をかく方も多いのではと思います。ならば、ご一緒にいかがですか。お腹を引っ込めたい──その願いをかなえるにはなかなか効果的な運動です。ついた贅肉自体は極端には減らせませんが、その下の筋肉が固くしまってくるのは確実です。

 選手とともにトライして、いつまでも若々しく、健康な体で野球の指導に当たられることを、心より期待します。

立花龍司

戻る