【プロローグ】

「札幌人は巨人じゃなきゃだめさぁー」

 いったい何度、故郷・札幌の人から、方言丸出しでのこの言葉を聞いただろう。

 そしてこのフレーズが、札幌の人、すなわち札幌人の気質をものの見事に一言で表しているのである。

 札幌の人々の、ナマの球場での観戦法は明らかに違う。フランチャイズ、地方球場、様々な日本各地のスタンドを駆け回って観客ウォッチングをしてきた私としては、札幌人の独特な考え方を、プロ野球の試合が行われているスタンドから実感してきた。

 プロ野球パシフィックリーグの日本ハムファイターズが、2004年に、札幌ドームに本拠地を移転することが発表された。

 雪という地域的なハンディを、ドーム建設で克服しての、夢のような出来事である。現在の札幌はどの地域よりも不況の真っ只中・・・。だからこそドーム建設から始まっての日本ハム本拠地移転決定は唯一最大の朗報と言っても過言ではない。

 しかし私からは、札幌人は今ひとつこのニュースを重大には思っていないように見える。それが冒頭の「札幌は巨人じゃなきゃだめさぁー」に表れている。

 ここに札幌人の気質の特徴がある。そしてこんな札幌人の特性は、今の試練の時代にもっとも向いていないと思われるのである。


 私は心理学者でも、心理分析官でもない。スポーツ作家である。

 それだからこそ、札幌ドームの開場、日本ハムの移転が札幌人の不況に弱い特性を自覚させ、さらに他地域と劣っている部分を成長させる特効薬になるなんて突飛なことを提言できるのである。

 札幌人なら読むにつれ、少し腹立たしくなる部分があるかもしれない。しかしそれは間違いなく現実なのである。真正面から見つめて冷静に考えてみると、なるほどなと思っていただけると思う。

 私にしても根が札幌人だからこそ書けることなのである。

 二百万都市・札幌の未来は決して閉ざされたものではない。それは最後まで読み進んでいかれればお分かりいただけると思う。

 いったい何が書かれているのか、ぜひぜひ楽しみにご覧ください。

 なお便宜上、札幌の人を札幌人、本州・四国・九州などを単に道外と表記したことをお許しいただきたい(札幌の野球ファンのことは、「札幌人ファン」と表記している)。

 もちろん札幌出身以外の人にも、そしてプロ野球ファン、特にパ・リーグファンなら絶対に読んでよかったと思える書だという自信がある。ぜひぜひ幅広い層の読者の方に読んでいただきたいと思う

 故郷・札幌が以前のように元気いっぱいの都市に生まれ変われるよう、そのきっかけが日本ハム移転という朗報であってくれることを切に願う。またこの書がその手助けを出来るとなれば著者としてこれ以上幸せなことはない。

 この書を読まれた後、あなたはもう「札幌は巨人じゃなきゃだめさぁー」とは絶対言わなくなると思います。

 二〇〇三年三月