イントロダクション
飛んでくるボールを手で捕らえ、からだの回転を足腰が支え、腕の振りが飛距離を生む。スポーツの世界で活躍する人々、つまりアスリートたちは日々からだの動き、運動能力に磨きをかけています。アスリートにとって、からだはあらゆる意味でもっとも重要なアセット(asset−財産)であることは間違いありません。しかし、もうひとつ重要な部分が忘れられがちではないでしょうか。
それは「眼」です。
日常生活やスポーツにおいて眼が重要なことは、誰もが認めることだと思います。しかし、あくまでそれは「視力」や「眼の動き」などについてであり、運動能力はもちろんのこと、メンタル面に及ぼす、眼の隠れた影響については、まだまだ知られていないのです。眼とからだの動きにはとても密接な関係があることを理解して欲しいのです。からだの動きは眼がリードするわけですから、眼の能力や機能について理解を深めることは、運動能力をさらに磨くために、スポーツの種目に関係なく取り組むべき課題であると言えます。
どんなに優れた競走馬がいても、その馬の能力を最大限に生かすためには、乗っている騎手の能力が問われます。走るのは確かに馬ですが、騎手はただ鞍にまたがっていればいいわけではなく、その馬の特性やコースを熟知し、どう走らせるのかを理解していなくてはならないわけです。同じことが私たちの眼にも言えます。「見る」ことは、テレビのスイッチを入れるように自動的に起こることではなく、その能力を最大限に活用するために、まずその働きをよく理解し、特性を熟知する必要があるのです。例えば、球技において「ボールをよく見る」ことの大切さは、アスリートなら誰でも知っています。それならば、どうしたらそれをいつも実行できるのか、どうすればよく見えて、ボールから眼を離さずにいられるのか、もっとよく知るべきではないでしょうか。
私は、10年以上に渡って数多くのアスリートたちと関わってきました。彼らのお陰で、アメリカで学んだ「ビジョントレーニング」の知識をさらに磨くことができました。知識は新しいアイデアを生み、そのアイデアは現場に生かされてきたと思います。この本では、これまであまり知られていなかった重要な「眼の働き」について解説しています。また、今日からすぐに始められるビジョントレーニングを紹介しています。
見る力を養うことによって、今までより格段に情報収集がうまくなり、運動能力をさらにグレードアップできるようになるでしょう。あなたの中に眠っている、アスリートとしての能力をこの本によりさらに開花させてほしいのです。
平成17年1月 特別視機能研究所代表 米国オプトメトリスト 内藤貴雄
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