まえがき
 私がプロ野球の世界に身を置くようになって2O年が過ぎました。振り返ればこれまで私は「出会い」と「縁」に恵まれていたと思います。大阪体育大学で陸上競妓をしていた私の目標は、教員になることでした。それが一転、担当教授の紹介で、トレーニングコーチとして阪急(当時)ヘの入団が決まったのです。まったく未知の世界へ飛び込むことに不安はありましたが、ゼミではバイオメカニクスを学んでいたことから「それをプロ野球のレーニングに生かせ」という教授の言葉に後押しされたのです。

入団当時の野球のトレーニングというと「走れ、走れ」がほとんど。トレーニングそのものの位置づけもあいまいでした。もちろん私自身走るというトレーニングがどれだけ大切か充分解っています。けれど、ただ単に走るという行為をとっても例えば、パワー(瞬発力)を養うのか、スタミナ(持久力)を養うものなのかによって量や質も重要になります。また、ランニングの前にやるぺきこともありますが、そのあたりもやや軽視されているようでした。

89年オリックスヘとチームが変わり、環境も大きく変化しました。その中で、ジム・コルボーン投手コーチ(90年〜93年在籍)との出会いが、私に大きな影響を与えてくれたのです。現役時代ノーヒット・ノーランも達成、米国での指導歴も豊富なコルボ一ン氏の話を聞くにつれ、メジャーのトレーニングヘの興味がふくらんでいったのを覚えています。

そして91年、単身でアリゾナヘ渡り教育リ一グ(カブス、マリナ-ズなど)NFL(現アリゾナカージナルス}を訪問。スキルやフィットネスにおいて日米の違いをつぷさに見ることができました。このときの体験が今も大きな財産になっています。この年、オリックスでは長谷川滋利投手(現マリナーズ)が新人王を獲得。翌年には田口壮選手(現カージナルス)、イチロー選手(現マリナーズ)が入団。後にメジャー入りする選手たちとレーニングする機会にも恵まれました。こうした体験とこれまで実践してきたトレーニングの集大成がこの本です。20年を区切りに、一冊の書籍として形に残すことは、後輩たちのためにも大事なことという、恩師のアドバイスも私を動かしました。また出版にあたり惜しまぬ援助をしていただいた、小泉隆司社長、中村勝広GMをはじめオリックス野球クラブ(株)のみなさまに感謝いたします。

平成17年1月 現オリックスバファローズコーチ  安田昌玄
戻る