元日本代表DFの日刊スポーツ評論家、秋田豊氏(46)の「熱血秋田塾・九州キャンプ編」最終回は宮崎・都城に東京を訪ねた。川崎Fから獲得したFW大久保嘉人(34)のヘディングゴールの増加を予感した。

 大久保選手にどうしても聞きたかった。なぜ、13~15年に史上初の3年連続得点王を獲得した川崎Fを去る決断をできたのか。直撃すると「普通に残ることもできたけど、普通が嫌だった。また違った自分を発見したかったんです」と明かしてくれた。まだまだ向上心は衰えていない。

 目標は4度目の「得点王」。返り咲きは可能だと思う。中央の崩しが多かった川崎Fと違い、東京はサイド攻撃が多く、「頭」が増えるとみた。得点王を獲得した時の内訳は13年が26点中1点、14年が18点中2点、15年が23点中3点と多くなかった。しかし、東京では好クロスが供給される。左サイドバックには太田選手がオランダから戻ってきたし、速さのあるFW永井選手を名古屋から獲得した。大久保選手は「サイドにポテンシャルを持った選手が多い」と話しており、チャンスは増えるはずだ。

 実は大久保選手はヘディングも強い。W杯日韓大会の翌03年に日本代表で一緒にプレーした。私は代表最後の年で、彼は初選出。まだまだ私はヘディングには自信を持っていたが、紅白戦でサブ組の彼に、頭の上から決められた覚えがある。身長差10センチも、バネがあって打点が高かった。本人は初代表で無我夢中だったのだろう。「全然、覚えてないです! 秋田さんから決められるわけがない!」と忘れていたが…。

 あとは、おとなしいイメージの東京に闘争心を植え付けられるか。「最初からワーッと怒るとシュンとなる選手が多いので、まずは下手に出ます」と話していた。もともと荒々しくて、すぐアドレナリンが出てしまう人間。8日の練習試合FCソウル戦では、早速怒っていたようだ。それでいい。悲願のリーグ初制覇へ彼の熱い意見には耳を傾ける必要がある。(日刊スポーツ評論家)