<熱血秋田塾・九州キャンプ編/浦和>

 18年W杯ロシア大会を狙う若手を直撃する「熱血秋田塾・九州キャンプ編」。2年目のジンクス打破を目指す浦和MF関根貴大(19)を、春季キャンプ中の鹿児島・指宿で取材した。並外れたスピード、キレのあるドリブルは、リーグ優勝候補の浦和にあってもひときわ輝く。周囲との連係や守備といった課題を克服し、屈指の選手層を誇るチームで定位置をつかめば、おのずと五輪代表、そしていずれはフル代表入りも見えてくるはずだ。

 今年の浦和はリーグ優勝、そしてアジアチャンピオンズリーグ制覇へ向け、しっかりと戦力を整えた。すべてのポジションに2人ずつ、レギュラークラスの選手がそろう。2年続けて終盤の失速で優勝を逃したチームが、ついに栄冠を勝ち取るのか。ペトロビッチ監督の手腕に注目したい。

 さてその中で注目しているのが、プロ2年目の関根だ。類いまれなるスピード、ドリブルでの突破力、そしてパンチ力あるシュートが魅力。タレント軍団浦和の中で、ユースから昇格してすぐ出場機会を得たというだけでも、彼の実力は明らかだ。8日のJリーグ・スカパー! ニューイヤー杯熊本戦でも、チームの大半のチャンスを演出した。

 関根は「2年目のジンクスを打破したい」と話すが、そのための改善点はある。熊本戦でも後半、相手DFが縦方向への突破をケアしてくると、勢いがとまった。周囲を使い、ワンツーで打開するとか、カットインからシュートを放つとか、プレーの幅が広げられるとよいと思う。そうすれば、持ち前のスピード、ドリブル力も、これまで以上に生きてくるはずだ。

 2年目は特徴を覚えられる。私もプロ2年目は「体重を落として動きを良くしよう」「足元の技術をつけよう」と弱点を減らす努力をした。その上で、ヘディングやパワーといった、自分の持ち味をアピールすることも忘れないよう心掛けた。そのことがフル代表入りにつながったと思う。

 関根は冷静に自分の足りない点を分析できている。改善への努力も怠らないと思うが、一方で「オレが絶対こじ開ける」というようなギラギラしたものをもっと出してほしいとも思う。そこが彼の魅力。去年に比べると物足りない。まだ19歳。もっとなりふり構わずやれる年齢だ。弱点をなくしたり、プレーの引き出しを増やすのは、すべて自分の長所をさらに生かすための方策だと心得てほしい。(日刊スポーツ評論家)