東京が7日の柏戦で今季8度目の1-0完封勝利を飾った。この最少得点での勝利をシーズン8度以上はJ1史上5チーム目(90分試合)。最多は14年鳥栖の10試合で、8試合は史上2位タイ。高い守備意識が根づくイタリア出身のフィッカデンティ監督率いるチームならではの記録か。複数得点での完封勝ちは2試合にとどまるが、堅守からの速攻で1点を奪い、その少ない得点を耐えて守り抜く戦いでクラブの年間最多勝ち点記録を塗り替えた。

 もっとも、Jリーグの順位決定方式を考えると手放しでは喜べないかもしれない。1-0を年間8度以上記録した過去4チームはいずれも上位に入るもV逸。今季年間勝ち点で首位に立つ広島は1-0が1試合だけで、2得点以上での完封は9試合を数える。こうして積み重ねてきた得失点差によって第2ステージ優勝も事実上決めている。

 イタリアのセリエAでは勝ち点で並ぶと同順位となる。順位付けが必要な場合は当該チーム間の対戦成績で決める。得失点差はほとんど関係なく、その点はJリーグと異なる。東京がもうワンランクアップするには、1-0からさらに突き放す戦いが求められるのかもしれないが、最終節22日の鳥栖戦では「ウノゼロ(1-0)」でも勝てばチャンピオンシップの出場権を得る。

【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)