<国際親善試合:日本1-3ブラジル>◇10日◇フランス・リール

 3失点したことで日本は守備の弱さを指摘されるかもしれないが、前線から重圧をかける意識はみんな持っていたし、「もっと守備をするべき」という意見があるなら違うと思う。少なくとも意識付けの面でいえば、これ以上求めるのは酷だ。反省すべきは、日本が攻撃の長所をほぼ何も出せなかったことだ。

 全力でブラジルのボールを奪いにいき、奪取できればすぐさま全力で攻撃に転じて狭いスペースにパスを出すだけ。全力だらけで要は一本調子。これでは息切れしてしまう。勝負なのだからもっとメリハリをつけないと。例えば前半28分にこの試合で初めて、山口が長距離のサイドチェンジを見せた。こういった変化あるパスは効果的で、1本通すだけでスペースができる、視野が広がる、テンポが変わる、何より得点機が生まれやすい。

 守備を土台にするのはいいが、守備に終始すると引き分け以上の結果は望めない。10度戦っても勝てないかもしれない強豪国との差は、あくまで攻守のバランスで対抗するべきだ。(日刊スポーツ評論家)