決定力は練習で磨け! 元日本代表FW中山雅史氏(47=日刊スポーツ評論家)が、アジア杯準々決勝UAE戦(23日)でPK戦の末に敗れた日本代表について語った。35本のシュートを放つも勝ち越し点を決めきれなかった日本戦を現地で見届けた。課題である決定力に必要な要素として、個人の「精神的強さ」と「スキル」のアップを挙げた。

 アジア杯は日本にとって悔しい結果で終わった。PKは水物とはいえ負けは負け。それまでに決めきる力がなかった。

 攻める形ができなければ問題だが、それはできていた。35本もシュートを打っているし決定機を何度も作り出していた。あとは個人の問題だと思う。決定的チャンスがあった豊田選手にしても、武藤選手にしても、乾選手にしても自らの動きでフリーになりながら、ビッグチャンスをものにできなかった。そこは個人の「精神的強さ」と「スキル」を鍛えないといけない。

 それこそ練習のたまもの。「精神的強さ」を養うには、普段の練習から緊張感を持って臨むことだ。そうすれば試合で生かせる。試合ほどの緊張感で決めるためには、練習の中で試合に近い緊張感を持てるか。「この1本を決めないといけないんだ」という緊張感を、練習の中で持てるかだ。現役時代の自分も常々思っていた。豊田、武藤、乾は代表での大きい大会はこれが初めて。劣勢の場面で、「決めないといけない」という場面で決められない。それは緊張感からくる力みで枠をとらえられなかったり、とらえてもGKの正面だったりしてしまうからだ。

 そして「スキル」は1タッチで決める技術。これがすごく重要。2タッチ、3タッチすると何がなくなるか? スペース、コース、そしてGKはポジション修正する。練習の中で、自分がより厳しい状況をつくり、どれだけ1タッチで意図するところへ打てるか。近年、ますますゴール前で時間とスペースがなくなっている。GKの動きの逆を突いたり、体勢が悪い中で枠に入れる強さ、ぶれない体をつくる。獲得するのは並大抵のことではないし、時間はかかるけど、積み重ねが力になり、試合でできた数だけ自信が生まれる。すぐに解消できることなんてない。

 これでW杯、アジア杯と結果が出なかった。「次は俺がやってやる」という選手がどれだけ出てくるか。海外でやっている選手も国内の選手も、日々の練習から力を養って、試合で結果を残してほしい。ギラギラした新しい選手が出てきてほしい。