<女子W杯:日本2-5米国>◇決勝◇5日◇バンクーバー

 日本と米国、実力の違いがあったね。いきなり0-4で試合は終わった。楽なグループで勝ってきて、決勝進出で喜んだ日本と、優勝のために緻密にプランを考えてきた米国の差が出たよ。男子顔負けのハーフラインからのゴールも率直にすごかった。技術、体力、総合的に明らかに米国が上。でもこの大敗は、強化とは何かを考え「次へのスタートを切れ」という合図だと思う。

 今までなでしこは「勝たなければいけない」という使命もあって、なかなか世代交代に踏み切れなかった。だが、若手を交ぜながら強化してきた米国にこれほどの差をつけられた。澤のような選手はなかなか生まれないというけど、ある程度、結果に目をつぶって使い続けなければそういう選手は育たない。リオ五輪でも100%ではないにしろ、若手も交ぜながらやるべきだよ。

 それから環境面でも考えなければいけない。4年前、選手たちがアルバイトをしながら戦っている姿にみんな感動した。でも4年たってもまだアルバイトだよ。どこのクラブとも(プロ)契約していない選手は協会が契約してあげるなど、方法はある。代表に入りたくなるようなステータスがなければ、女子サッカーの普及だって進まないよ。(日刊スポーツ評論家)