<W杯アジア最終予選:日本2-1イラク>◇B組◇6日◇埼玉

 終盤に相手GKが倒れて時間稼ぎをしていたが、あれでロスタイムが伸びた。だから山口の決勝ゴールが生まれた。あのつまらない時間稼ぎがなければドローに終わっていたよ。まあ、ハリルホジッチ監督は何とか首の皮がつながったな。

 だが勝ったことで内容を忘れてはいけない。チームとしての形がないし、最後は吉田を上げてのパワープレーで何とか点をもぎ取ったにすぎない。あっぷあっぷして、慌てて、焦って、ただ勝ったというだけだ。ドラマチックな勝利は、いかに日本が追い込まれているかといういい証拠だよ。

 香川は先発出場することができず、本田や岡崎も以前のような計算できる選手ではない。所属クラブで出場できないのは偶然ではなく、力がないからだ。本当ならW杯ブラジル大会が終わった直後から、彼らに代わる選手について考えていかなければならないのに、それを怠った。そのつけが今まわってきている。

 一方、原口や清武には次も出場する権利がある。原口のプレーにはファイティングスピリットがあった。アウェーのオーストラリア戦は本当の正念場。彼らの真価が問われると思う。(日刊スポーツ評論家)