<W杯アジア最終予選:オーストラリア1-1日本>◇B組◇11日◇メルボルン

 引いて守って、ワンチャンスで1点は奪ったけど、対等には戦えていないね。アウェーだとしても、オーストラリア戦でこんなに引いて守った日本は初めて見た。いわゆる「弱いチーム作戦」ですか。プライドを捨てて、引いて守ってカウンターを狙うという、岡田監督の時のW杯南アフリカ大会を思い出したよ。

 ただ右の小林も足を痛めたし、左の原口とともに両サイドに負担をかけたね。カウンターのチャンスがあっても長い距離を走らなければならないんだから。アウェーだから負けるよりはいいけれど、アジアの横綱同士の戦いではなかった。こんな戦い方でW杯に出たら勝つのは無理。アジアも勝ち抜けるか分からない。

 ケガ人だなんだと言って台所事情が良くないのは分かる。だけどハリルホジッチ監督が今の日本を見て、このサッカーしかないと考えているのなら、日本のサッカーはこの世代で終わってしまう。そうしたら復活するのにしばらく時間がかかるだろうね。

 監督はちゃんと選手を見ているのだろうか。選んでいる選手と使い方がデタラメだ。清武の代わりに香川を入れたのはどういう意味か。香川を守備中心に使うとは思わなかった。最後も1-1でドリブラーの斎藤ではなく丸山を起用した。しかもデビュー戦で自分のポジションじゃないところで。試合を通じて、日本のサッカーが何なのか、まったく分からなくなってしまったよ。(日刊スポーツ評論家)