東アジアE-1選手権は残念だった。試合内容だけでなく、韓国に1-4と大敗した後のハリルホジッチ監督の「韓国の方が格上。日本より強いのは試合の前から分かっていた」という発言。相手の方が強いから負けても仕方ないというのか。評論家じゃないんだから、本当は言ってはいけない言葉だ。11月のブラジル戦後の「後半だけなら勝っていた(前半0-3、後半1-0)」という子供じみた発言と同様、自分だけ守ろうとしている。

 相手が強くても、そこに勝つために策を練ってお金をもらう、それが監督だ。

それができないなら辞任すべきだ。

 韓国には長身FWがいるのに、なぜ空中戦に強い植田を右サイドバックで使ったの? 小林、車屋、阿部ら優勝して勢いのある川崎F勢を生かすため、中村憲を呼べばよかったのでは? 負けているのに、なぜ最初の選手交代がボランチだった? 「2勝した」とハリルホジッチ監督は言ったが、その北朝鮮戦と中国戦はあやうく引き分け寸前だった。最も目立ったのはGKで、それでは内容がいいとは言い難い。日本がW杯で対戦する3カ国は韓国より強いからハリルホジッチ監督では無理だ、となりそうなものだが…。

 めったにブーイングをしない日本のサポーターが、表彰式でもブーイングをしていた。ただ、負けたからじゃない。問題の発言が出たインタビューは場内にも流れていた。サポーターはわかっている。

 そもそも自分のチームを侮辱する発言だ。選手にプライドがあれば、このリーダーにはついていかない。でも日本の選手はプロといってもサラリーマン的だ。上司=監督に面と向かっては言えない。みんなおねだりしてチームに残りたい。かつて1人だけ、亡くなった松田直樹選手が05年のW杯予選で、起用されないと分かると埼スタで荷物をまとめて、「俺を使うときに呼んでね」とジーコ監督に言って帰っちゃったことがあったけど。

 何度も繰り返していることだが、せっぱ詰まったら選手だけでミーティングをやる。これを外国では「内紛」と呼びます。ずっと我慢してきて、土壇場で「まずい」と思ったら、「俺たちでやるべきだ。監督は関係ない」という雰囲気になっちゃう。11月のベルギー戦の前にも似たようなことがあったように聞く。監督と選手との信頼関係も心配だな。(日刊スポーツ評論家)