今月末の親善試合、5月のワールドカップ(W杯)メンバー発表前では最後の実戦になる。相手はマリ(23日)とウクライナ(27日)と、いずれもW杯に出ないチームだ。既に次に向けて選手が大幅に若返っている可能性もある。本番を見据えての「仮想セネガル、仮想ポーランド」にはならない。日本は勝って当たり前だ。日本の対戦相手が同じアジアだという理由で、香港やシンガポールと試合をするのと同じ。実際は27日にポーランドは韓国、コロンビアはオーストラリアと対戦、十分「仮想日本」になっている。

 では選手選考は? 本田は呼ばれるだろう。パチューカではコンスタントに出場しているし、手倉森コーチがわざわざ視察に行っている。岡崎と香川もコンディションがよければ選ばれると思う。ここで呼ばないと、またメディアがざわつくからね。一方、浅野や井手口はクラブで出場機会がないから招集すべきではない。クラブで出ていない選手は選べないということを貫いてほしい。

 井手口の欧州移籍は必要だったのか疑問だ。このままでは(保有権のあるイングランド2部)リーズには行けないよ。ガンバ大阪に残っていた方がよかったのではないか? エージェントが稼ぐための移籍はやめてほしい。日本のサッカーをむしばんでいく。逆に長友はガラタサライに移ってよかったと思う。フル出場できている。トルコだが、元ドイツ代表ポドルスキや元オランダ代表スナイダーも所属していた良いクラブだ。

 何よりインテルミラノというビッグクラブが、一選手の「W杯のために」という気持ちを理解し、サネッティ副会長(元アルゼンチン代表)が尽力した。長友がインテルで積み重ねた実績と信頼がうかがえる。

 ハリルホジッチ監督はW杯最終メンバーについて、5月の予備登録時点では23人より多く発表し、6月の最終登録前に絞り込む「2段階選考」もありうるという。つまり各ポジションにずばぬけた存在がいないんだ。実力的に似たり寄ったりで、直前にコンディションのいい方を選ぶということか。現時点で23人に入るのが確実視できるのは川島、吉田、酒井宏、長友、長谷部、あとは山口くらいかな。みんな守備の選手で、攻撃陣はいない。

 ブラジル代表は既に15人発表している。発表こそしないが、強いチームは軸が決まっている。それがレベルの差だ。(日刊スポーツ評論家)