セリエA、ACミランの日本代表FW本田圭佑選手(28)は今季開幕からしばらく7戦6発と絶好調だった。リーグは残り1試合。現状はというと28戦6発…。それ以降ゴールがない。

 その本田選手のゴール数にもかかわってくるのだが、今季も低迷する名門ミランの今をあらわす数字に、ここ“4戦4発”?? というものがある。

 「発」はかなり強引な表現だが、ここ4試合で退場者が4人も出ているのだ。この間ミランは、来季欧州リーグ出場の可能性も消滅。トリノ戦ではインザキ監督も退席処分を食らった。

 目標を失い、壊滅状態のチーム。そうであることを、まるで試合中に自らピッチを去るような形で無駄なファウルを犯して退場する選手もいる、そんな現状が示している。

 リーグ37試合を終え、退場者は、のべ13人にもなる。信じられない数字だ。数字上は約3試合に1度はピッチから誰かがいなくなる計算。実際には、1試合で2人が退場して9人になったこともあるのだが…。

 メクセス、メネズのフランス人2人は、ともにただ退場しただけではなく、その後リーグから4試合の出場停止処分を科された。戦いの場であるピッチに立つことさえできない選手がいるのだから、勝ち点を積み上げることは難しいだろう。

 本田選手の移籍後、何度かこの名門を取材する機会に恵まれた。イタリアではもちろん、ニューヨークの5番街にある超高級ホテルも含め、遠征先の米国でもカナダでもミランが宿泊するホテルは超一流。そのホテル前には、選手をひと目見ようとファンが詰めかけていた。

 そんな光景を目の当たりにして、圧倒的な歴史と伝統を思い知らされた。それだけに今季の退場者の数が示す、たががはずれたような名門のチーム状態が気になる。

 来季は一体どうなるのだろうか。壊滅状態の組織を立て直すのは簡単ではないと思うのだが…。


 ◆八反誠(はったん・まこと)1975年(昭50)岐阜県生まれ。98年入社。名古屋でアマチュア野球や一般スポーツを担当し、06年からサッカー担当に。途中、プロ野球中日担当も兼務。14年1月から東京勤務。日本協会と横浜を担当。