J2横浜FCのFWカズ(三浦知良、48)がけがからの復帰戦となった6月28日の水戸戦(アウェー)でゴールを決めた。

 48歳になって3点目。私は、うち2点を会場で取材するチャンスに恵まれたが、今回は担当の先輩記者が密着マーク。目撃することはできなかった。

 すると、今季3点目で初めてカズダンスが勝利の舞いに…。“持ってない”のは誰なのか。そもそも、そんな影響力は一切ないと自覚しているものの、少し責任を感じてしまった。

 ともあれ、日本サッカー界をけん引し続けるキングは、日本代表の一部の海外組やなでしこジャパン、いろいろな選手と縁がある。まるで都市伝説のように、触れ合った人たちがそれぞれのカズ伝説を口にしている。

 いくつも印象に残る話を耳にしたが、中でもこれは! と思った話がある。サッカーだけでなく、とにかく人を良く見て的確に分析することもうまい横浜の元日本代表MF中村俊輔のひと言だ。

 10番は、真顔でこう言っていた。

 「カズさんはパワースポットだね。会うだけで元気をもらえる」

 まさに、その通りだと思う。

 昨年6月、W杯取材中のブラジルで「JFAアンバサダー(大使)」を務めていたカズゆかりのクラブ・サントス訪問を取材させてもらった。

 最後にカメラマンから自身を描いた壁画があることを聞いたカズは「その前で写真を撮ろうか?」と逆提案。報道陣の到着を待って壁画の前でポーズ。絵になる男の“活躍”はそれで終わらなかった。

 撮影後、報道陣は貧民街に近く治安が悪い裏路地を、比較的高価なカメラを手にとぼとぼ歩いて帰ることになっていた。ブラジルを知り尽くす主役は、安全を気遣いサントスのクラブ施設内を通って帰ることができるよう交渉。自ら先導し、安全な帰路を確保してくれた。

 地球の裏側でもカズはカズだった。この人は、いつまでも日本サッカー界の「パワースポット」であり続けるだろう。そんな気がしている。


 ◆八反誠(はったん・まこと)1975年(昭50)岐阜県生まれ。98年入社。名古屋でアマチュア野球や一般スポーツを担当し、06年からサッカー担当に。途中、プロ野球中日担当も兼務。14年1月から東京勤務。日本協会と横浜を担当。