サッカーのコラムなのに「なんでやねん!」と、突っ込まれそうですが、いきなり高校野球の話題を。

 太平洋に面した私の故郷、茨城県日立市はこの夏、ちょっとした熱気に包まれたそうな。なんせ、地元の名門で公立の日立一高が30年ぶりの甲子園出場に王手をかけたのですから。30年前といえば、私はまだ小学生。自転車で海に行っては釣りばかりしていたのですが、7つ年上の姉が“一高”に通っていたので、当時の盛り上がりもなんとな~く、覚えています。

 その一高といえば、県内有数の進学校。文武両道で、ラグビー部は84年に茨城県大会7連覇を達成するなど古豪として知られ、花園の地を計5回踏んでいる。野球部の応援も、それはそれはにぎやかで、全国制覇した経験のある同じ茨城の常総学院も手本にしているとか、いないとか。

 まあ、惜しくも決勝戦は私立の霞ケ浦に0-2で惜敗してしまったわけですが、チームを引っ張ってきたのが2年生エースの鈴木彩斗クン。“公立の星”。来年こそ甲子園に来てもらいたいものです。

 野球でもサッカーでも、選手を集めている私立高校は強い。そんな時代だから、たまに公立高校が頑張っていると、注目してしまう。強豪ひしめく大阪大会でも、公立の大冠(おおかんむり)が準決勝で敗退も、4強まで上り詰めた。甲子園で見たかったなぁ。

 サッカー界では、将来性ある選手はほとんど、高校時代はJリーグの下部組織であるユースに所属。G大阪のFW宇佐美、C大阪からスイスのバーゼルに行ったFW柿谷らが代表的です。ユース以外では、やっぱり私立高出身が多い。FW本田は星稜だし、DF長友は東福岡、元日本代表のMF遠藤は鹿児島実業。なかなか公立高校出身はいないんだろうな~なんて考えながら、8月に開幕する東アジア杯の日本代表メンバーを調べてみた。

 そしたら、意外や意外…。公立高校出身が23選手のうち6人もいるんですねぇ。

 DF森重は県立広島皆実、米倉は千葉県立八千代高、MF米本は兵庫県立伊丹高、谷口は熊本県立大津高、FW川又は愛媛県立小松高、浅野が三重県立四日市中央工。

 その他の内訳はユース出身が9人、私立高校が8人。

 公立高校でもサッカーに力を入れている強豪校もありますから、一概には言えませんが、なんだか応援したくなってしまうのは私だけか?

 海外組がいない東アジア杯。ぜひ、公立高校出身選手に注目してはいかがですか。


 ◆益子浩一(ましこ・こういち)茨城県日立市生まれ。00年大阪本社入社。プロ野球阪神担当を経て、04年からサッカー担当。W杯は10年南アフリカ大会、14年ブラジル大会を取材。