10月21日、Jリーグ勢のアジアへの挑戦が終わった。ACLでG大阪が広州恒大(中国)と0-0に終わり、2戦合計1-2となり準決勝での敗退が決定。しかし、もしG大阪が決勝に進んでいたら…想像するのも耐え難い現実が待っていた。

 まさしく、それは「過密日程」だ。今年はあちこちでこの言葉を聞く。G大阪がACL決勝に進んだ場合、日程は以下の通りだった。

 10月17日 浦和戦(J1・万博)

 10月21日 広州恒大戦(ACL・万博)

 10月25日 仙台戦(J1・ユアスタ)

 10月28日 広島戦(J1・万博)

 10月31日 鹿島戦(ナビスコ杯決勝・埼スタ)

 11月3日 山形戦(J1最終節・万博)

 11月7日 アルアハリ戦(ACL決勝・ドバイ)

 中2日で広島戦、鹿島戦、山形戦をそれぞれ終えたあとにドバイへ移動して中3日でACL決勝。さらにハリルジャパンで唯一全試合出場しているFW宇佐美貴史(23)ら代表組はそのまま直接シンガポールへ移動して、W杯アジア2次予選シンガポール戦、カンボジアへ移動しカンボジア戦を戦わなければいけなかった。

 帰国してからも中3日でホームのACL決勝第2戦、年間勝ち点数上位3位以内に入っていれば、中3日でチャンピオンシップ(CS)1回戦、中2日でCS準決勝、中3日でCS決勝第1戦、中2日でCS決勝第2戦…。

 宇佐美の最後のオフは9月22日。9月26日柏戦からまるまる2カ月、休みなしで中4日が3戦、中3日で10戦、中2日で5戦…なんと19試合もしなければいけなかった計算になる。

 シーズン佳境になるに連れて、もちろんリーグ戦でも大一番を迎える。まだ第2ステージ優勝の可能性も、年間勝ち点数上位浮上の可能性もあったG大阪にとって大事な残り2試合。その2試合をACLの決勝までの間に組み込まれ、どちらも中2日で迎えなければいけなかった。長谷川健太監督も「リーグ戦を前倒しにして中2日というのは、さすがに不公平になる」と顔をしかめていた。

 現に7月、スルガ銀行CSの関係で第2S第6節鳥栖戦が前倒しになった。真夏にG大阪と鳥栖だけ19日間で6試合の連戦を組まなければいけなくなった。結果論ではあるが、G大阪はこの一戦で後半26分に同点弾を浴びて引き分けた。「あの引き分けがなければ」。長谷川監督が勝ち点2を逃した一戦を悔やむのもうなずける。

 もちろん、クラブ側は今年1年、この日程で行われることをシーズン開幕前から承知の上だ。野呂輝久社長も「知っていたが、早急に解決しなければいけない問題。うちがACLでここまで来たことで、日程の厳しさをみなさんに分かってもらえたんじゃないか」。現在Jリーグ2月開幕案などが議論されている。長谷川監督は「ACLの価値が欧州CLぐらいの価値になれば、日程も変わってくるのかな」。この日程を乗り切れば真の王者なのか。アジア王者をJリーグ勢が目指すなら、最大のバックアップがあってもいいはずだ。【小杉舞】


 ◆小杉舞(こすぎ・まい)1990年(平2)6月21日、奈良市生まれ。大阪教育大を経て14年、日刊スポーツ大阪本社に入社。1年目の同年11月からサッカー担当。今季の担当クラブはG大阪など。