川崎Fの旧クラブハウス(上)と新クラブハウス
川崎Fの旧クラブハウス(上)と新クラブハウス

 川崎Fの新クラブハウスが2月1日に竣工(しゅんこう)式を迎えた。床面積は旧建物の2・6倍となる2127・89平方メートル。ロッカールームも風呂も筋トレルームも、旧クラブハウスの倍以上の広さである。風呂はジェットバスもあり、ラウンジ、テラス、スパイクルーム、仮眠室と「高級ホテル級」の豪華さ。治療室も充実し、MF中村憲剛(35)が「選手寿命が延びるかも」と話すのも納得だ。

 旧クラブハウスは平屋のプレハブだった。昨年5月、川崎Fの担当になった時、大きさといい建物といい「フロンターレのクラブハウスって…」とビックリしたのを思い出す。風呂も小さく、5人が湯船に入るといっぱいだったとか。現在、J2札幌でプレーするMF稲本潤一が、川崎Fに加入して初めて旧クラブハウスに来た際「ところでクラブハウスはどこですか?」と聞いた“伝説”があるのもうなずける。

 小さい旧クラブハウスにもメリットはあった。「人探し」が楽だったのである。「前は、選手の居場所も動線も限られていたし、数歩動けば、探したい選手が見つけられた」とスタッフ。しかし、今は広いが故に「選手を探すのが大変になりましたね」と苦笑する。

川崎Fの新クラブハウスの2階テラス
川崎Fの新クラブハウスの2階テラス
川崎Fの新クラブハウスの仮眠室
川崎Fの新クラブハウスの仮眠室

 特に初日は、目的地にたどり着くまで“迷子”になった選手もいたほど。FW小林悠は、玄関に入って右と左を見渡し「あれ、どっちだっけ」と迷っていた。ラウンジには「1杯100円」のコーヒーメーカーが置かれている。初日はMF中村がコーヒーを片手に「砂糖とミルク」を求めて歩き回り、この2点が手に入った後は「マドラー」と再び歩き回っていた。物を探すのも大変のようだが、広さもすぐに慣れるだろう。

 新クラブハウスに移って半月。2階のテラスでは、選手会長のDF登里の発案でシュラスコパーティーも開かれた。選手、クラブに関わる全スタッフが参加し、一体感も増している。各選手が「こんなに立派なクラブハウスをつくってもらって、これは頑張らなくては」と、最高の環境に感謝し、タイトル獲得へ強い思いを口にしている。今年はクラブ創設20周年の記念年。新クラブハウスに今季、悲願のタイトルが飾られれば、本当の“完成”になるのかもしれない。

川崎Fの新クラブハウスの浴室更衣室
川崎Fの新クラブハウスの浴室更衣室
川崎Fのクラブハウスのジャグジー付きの風呂
川崎Fのクラブハウスのジャグジー付きの風呂

 ◆岩田千代巳(いわた・ちよみ) 1972年(昭47)、名古屋市生まれ。お茶の水女子大卒業後の95年、入社。文化社会部で芸能の音楽を中心に取材。12年11月、静岡支局で初のスポーツの現場に。13、14年磐田担当。15年5月、東京スポーツ部に異動し、川崎F担当。高校、大学はピアノ専攻。今はピアノにまったく触らず。