ルヴァン杯1次リーグ柏レイソル-清水エスパルス(15日・1-0)で、目を引く2人がいました。身長155センチの柏MF中川寛斗(22)と、163センチの清水FW金子翔太(21)です。J1で最も身長が低い中川と、3番目に低い金子が、初めて公式戦で対戦しました。

 清水では最も低身長の金子は、自分よりも小さい中川について「うまかったですね。やりづらかった。動けるし、走れるし」と話しました。実はこの2人、育成年代の日本代表として一緒にプレーしたこともあります。

 小さいことは、弱点に見られがちです。しかし、金子は「身長を生かしたプレーができます。他の人から見たらデメリットかもしれないけど、自分のメリットを出せる」と言います。

 小さい選手が、大きな選手のふところに入ってプレーした場合、足元でキープするボールは相手から見えづらくなるなと、小さいからこそできるプレーがあります。大きなセンターバックにハイボールで競り勝つことはできなくても、体を当てることでミスを誘い、こぼれ球を味方に出すことはできる。相手の体重を利用してプレーしたり、小ささゆえの俊敏性でボールを奪うこともできます。

 今季、金子は身長181センチのFW鄭大世(33)と2トップを組んでいます。前線からの積極的な守備で、J1昇格初年度のチームに貢献しています。リーグ戦のホーム鹿島アントラーズ戦(18日・2-3)でJ1初ゴールを挙げるなど絶好調で、自信もつけています。サッカーの話を離れて、こんなことも話していました。

 「実は身長が低い人が、主人公になってるんですよ。『テニスの王子様』の越前リョーマは小さいし、『ブリーチ』の黒崎一護も(ストーリーの)最初は小さいんです」

 プロ選手を目指して努力をしている子どもたちの中には、身長の低い選手もいると思いますが、金子は自分自身の責務も感じています。

 「僕は極端に小さくても、FWとしてプレーしている。J1でゴールを決めて活躍することで、『小さい選手でもいけるんだ』と感じてもらいたいです」

 金子はJFAアカデミー福島出身。福島への熱い思いも持ちつつ、低身長を代表する選手として個性を発揮しつつあります。このまま結果を残し、清水で、Jリーグで「主役」を担う決意です。


 ◆保坂恭子(ほさか・のりこ)1987年(昭62)6月23日、山梨県生まれ。埼玉県育ち。10年入社。サッカーや五輪スポーツ取材を経て、15年5月から静岡支局に異動。今年はJ1清水とJ3藤枝の担当。

柏MF中川
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