サッカーどころの静岡で活躍する「金の卵たち」に注目しています。

 清水エスパルスジュニアユースは昨年、史上2クラブ目となる全国大会3冠を達成しました。新チームは今年のJFAプレミア杯(5月)でも優勝し、4大会連続で全国制覇を達成。前人未到の2年連続全国3冠に向け、好スタートを切っています。

 清水ユースにも目が離せません。所属するプレミアリーグEASTでは首位をキープ。7選手がトップチームの公式戦に出場できる2種登録され、すでにルヴァン杯ではFW平墳迅(17)ら、3選手がトップデビューを果たしました。今や、清水の下部組織は、全国の各クラブから目標とされる存在になっています。

 目覚ましい活躍の裏には、地道な取り組みがあります。クラブは昨年からフィジカル強化を目的とした「アスリート育成プロジェクト」を立ち上げました。15年から育成年代の理学療法士(PT)を務める斎藤佳久氏(36)が中心となり、体の土台作りに着手。普段の生活から姿勢を正すことを意識させ、走る時の正しい動作や体のバランスを整えることを徹底させました。練習直後の食事もサポートするなどし、アスリートとして活躍できる必要条件を整えています。

 クラブの育成を統括するサッカー事業本部本部長の伊達倫央氏(50)も「成果は確実に出てきていると思います」と話していました。試合では球際の局面で当たり負けしないシーンが増え、運動力が落ちる後半終盤でも走り負けない場面も多く見られます。この取り組みが注目され、他クラブからスタッフの派遣を要請されたほどです。

 単なるフィジカル強化ではなく、アスリートとしての運動能力を高める目的で始めたプロジェクトは着実に実を結んでいます。もともと、清水の選手たちは、ボールを扱う技術でトップレベルでした。その上で当たり負けしない「強さ」が加わり、勝つことで得られる「経験」も積んでいます。清水で育成年代を指導するスタッフ共通の思いは「トップで活躍できる選手を輩出すること」。清水の次代を担う若き戦士たちの今後の活躍に期待しています。

 ◆神谷亮磨(かみや・りょうま)1985年(昭60)8月28日、静岡市清水区生まれ。幼稚園からサッカーを始め、高校は東海大静岡翔洋(旧東海大一)でプレー。08年入社。担当は11、12年にJ2磐田、13、14年にアマチュアサッカー、15年から清水。