“お風呂”で連戦を乗り切った。

 J1ベガルタ仙台は14日大宮アルディージャ戦で、過密7連戦を終えた。初戦のサンフレッチェ広島戦(4月22日)の前まで、直近リーグ3戦計13失点で全敗と苦しい状況が続いたが、ふたを開ければ、3勝2敗2引き分け。この期間中、ルヴァン杯は2勝1分け。結果、A組暫定首位で1次リーグを終えた。上々の結果だろう。

 渡辺晋監督(43)は選手へ、個別に休暇やリカバリーを与えた。これも要因と言えるだろう。が、みちのくクラブにとって、この時期の連戦は疲労だけでなく、寒暖差との戦いでもある。仙台はゴールデンウイークを過ぎても、シャツ一枚では肌寒い気候だった。

 最も印象的だったのは、4月末の清水戦2連戦。ホーム(26日)と、アウェーの静岡市内(30)日では、気温差が約8度もあった。そんな状況下でも2戦連続3得点で連勝。この要因を尋ねると指揮官は、ほほ笑みながら、「汗だくになるまで、サウナ入っておけと話しておいたよ」。個別休暇の他に、サウナも理由に挙げた。

 現役時代から「ユアスタ近くのサウナに良く行った」と話す。そこまでサウナにこだわるのには理由がある。暑さ対策には「汗腺を開くこと」が重要と説く。とあるスポンサー企業から「オリンピック選手もやっている」と言われ、確信を持ってサウナを選手に奨励。結果、気温差に打ち勝った。「暑さに慣れたのも大きいんじゃない」と満足げだった。

 選手はサウナを楽しむ。仙台には近郊に秋保温泉や作並温泉など名湯があり、温泉大国だ。同年代のチームメートとよく温泉に行くというMF藤村慶太(23)は「やらないよりは、やった方がいい」とサウナを欠かさない。MF奥埜博亮(27)は「仙台は涼しい。効果が少しでもあるなら、やるべきだ」と語った。

 就任4年目だが、指揮官は他にも“お風呂”を活用し、暑さを乗り切ってきた。昨年、夏場にアイスバスを奨励。選手は屋外で、冷え冷えのビニールプールに“入浴”。その甲斐もあってか、7月17日から約1カ月間、リーグ5戦は4勝1分けと絶好調だった。強豪鹿島も破った。記者はベガルタ取材歴はまだ半年。気温に比例して、成績が上がる今夏の仙台を、現場から多くのサポーターに伝えたい。【秋吉裕介】


 ◆秋吉裕介(あきよし・ゆうすけ)1993(平5)年6月28日、横浜市生まれ。16年早大卒業後、同年4月入社。11月から仙台担当。