ワールドカップ(W杯)イヤーの開幕が、より一層楽しみになった。

 昨年12月、東アジアE-1選手権にジュビロ磐田FW川又堅碁(28)が追加招集された。昨年に同クラブの担当記者になってから、日本代表に選出された選手は川又ただ1人。テレビ観戦にも、普段より力が入った。

 全3試合に途中出場した川又は、初戦の北朝鮮戦で左クロスから決勝点の起点になった。続く中国との第2戦では、ペナルティーエリア内で粘って先制点を演出。得点こそなかったが、前線での体を張ったポストプレーやゴール前での高さなど「良さ」を存分に発揮していたように映った。

 一定のアピールに成功したが、過去の実績を考えればW杯メンバーへの道は険しい。ただ、「1度も呼ばれなかった選手」から、メンバー入りの可能性が浮上したことは間違いない。

 名古屋から完全移籍で加入した昨季、川又は自身初となる全34試合に先発。夏以降は両かかとに痛みを抱えていたが、名波浩監督(45)は起用を続けた。

 「プロアスリートが1年間やり通すことは大きな価値があると思うし、それを川又はまだできていないから」

 週初めの練習では別メニュー調整させるなど気を配った指揮官の支えもあり、川又はチーム最多14得点。ゴール数でも、23得点だった13年新潟時代以来の2桁得点をマークした。

 新天地で再び覚醒を始めたストライカーは、W杯について「ここ(磐田)で良い結果を残すこと。今、自分がいる環境でしっかりやった結果がW杯に結びつけばいい」と、自らに言い聞かせるように話す。今月15日のチーム始動日には、ペース走で先頭を走るなど練習からその決意が垣間見えた。

 6月14日のロシアW杯開幕までは、残り5カ月を切った。W杯の舞台に立つ川又を見たい-。その期待は膨らんでいる。

 ◆前田和哉(まえだ・かずや)1982年(昭57)8月16日、静岡市生まれ。小2からサッカーを始め、高校は清水商(現清水桜が丘)に所属。10年入社。一昨年までは高校サッカーを取材し、昨年から磐田担当。