J1初参戦のV・ファーレン長崎が湘南ベルマーレとの3月14日ルヴァン杯1次リーグに勝ち、ついに歴史的な公式戦初勝利を飾った。先制しながら逃げ切りに失敗してきた直近3試合とは違い、同点に追いついてなお後半43分に奪った執念の逆転ゴールに大きな意味がある。勢いのまま、3月18日のアウェー札幌戦でリーグ戦初勝利を飾ってもらいたい。

 勝利が近い前兆はあった。3月10日のホーム浦和戦。「今日は3-0の浦和勝利だな」。博多から長崎へ取材に向かう特急列車内で耳にしたサポーターの話し声のように大方の予想は、浦和の勝利だったろう。だが昨年のACLを制したアジア王者から先制して苦しめた。結局引き分けたが昨季のJ2終盤戦から相性のいいホーム試合で大善戦、連続無敗記録を「8」に伸ばして迎えた湘南戦だった。

 浦和戦で先制点につながるPKを獲得したMF翁長聖(23)は「後半に入りボールポゼッションのかけ方、パワーの使い方をもっと考えないと…」と危機感を募らせていた。そこから攻守に修正を加えた結果、待望の勝利につながったと言える。同戦で先制点を決めたFW鈴木武蔵(24)が「もっとクロスやシュートの質を上げ、点をもっと取って相手の息の根を止められるようにしたい」と感じた攻撃力向上も功を奏したに違いない。中3日で迎えたルヴァン杯2戦目で早くも成長の証しを証明してみせた。

 今季開幕からルヴァン杯2試合を含む公式戦5試合連続で得点中なのも自信につながっているはずだ。16年に1年でJ2に降格したアビスパ福岡は、J1開幕から得点してもなかなか勝てず初勝利を奪ったのは第9節だった。果たして長崎はどうか。好調の攻撃力を武器に、リーグ4戦目で早くも白星を挙げられるか注目している。【菊川光一】

 ◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市博多区生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在は報道部で主にJリーグなど一般スポーツを、カメラマンとしてもプロ野球のソフトバンクなどを担当。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。