ヴィッセル神戸が誇る世界スター、元スペイン代表のMFアンドレス・イニエスタ(36)と、国民的アイドルグループ「嵐」の松本潤(36)が、ちょっとしたきっかけで交流を深めている。

4月30日に放送されたフジテレビ系「VS嵐」(木曜午後7時)の番組冒頭での出来事だった。「もし、もらえるとすれば、誰のサインが欲しいか」というお題で、嵐5人のトークが始まった。

松潤は「イニエスタのサインが欲しい!」と叫ぶと、VTRでイニエスタがサプライズで登場。松潤(松本)に対して「番組に(ゲストで)呼んでくれると聞いていますが、近く会えることを楽しみにしています。ありがとう」とメッセージを送った。

スタジオには、額に入った「TO MATSUMOTO」と書かれたイニエスタの直筆サイン入りユニホームが届けられた。今年元日の天皇杯決勝で、神戸がクラブ初のタイトルを獲得した試合に着用していた、お宝ユニホームだ。

これは本当に価値があり、松潤は「次はマジで番組に来てください! 一緒にキッキングスナイパー(番組で人気のボールを蹴って得点を競うゲーム)やりたいよ、ありがとうございます」と感激した。

ちなみに2人は現在36歳だが、松潤の方が学年では1つ上になる。

あれから1カ月以上がたち、Jリーグ担当の記者が、あの日の経緯と、その後を取材することができた。

神戸のクラブ関係者は「それまで何度か番組内で、松本潤さんがイニエスタ選手のファンだと言ってもらっていました。我々としては、そういう場を提供できないかと考え、フジテレビさんと協力し、あの日の登場になったのです」と説明する。

さらに「もちろん最初は、イニエスタ選手も嵐のことは知らなかったのですが、日本ですごい有名なアイドルグループだと説明し、本人が快諾してくれました。現在、嵐の曲を聴いているかは分かりませんが、存在はよく知っています」と続けた。

実際に番組後、イニエスタと松潤はそれぞれのSNSを使い、メッセージを交換している。お互いの律義な性格に、共感しているようにも思えた。

記者は2年前、夏の高校野球で嵐のシングル曲「夏疾風(なつはやて)」が応援ソングに採用された際、甲子園球場で嵐を取材する機会があった。記者が「曲の振り付けは、高校野球らしいものになる?」と質問したら、松潤は「吹奏楽の曲と合うものを考えたいですね」などと答えた。小学で野球、中学ではサッカーをしていたという、松潤のスポーツへの熱量が伝わってきた。

一方、イニエスタを取材している限り、試合はもちろん、練習でも手を抜くことはない。普段の態度も紳士で、だから世界から認められている。

果たして、今回の松潤のラブコールに対し、本当にイニエスタが「VS嵐」にゲスト出演できるのか。

リモート出演だと比較的容易かもしれないが、やはりスタジオでの共演の方が価値はある。いや、神戸が元日に初タイトルをつかんだ国立競技場は、嵐にとって聖地。そこで収録というのも夢…とまで言えば、少し飛躍しすぎか。

再び神戸のクラブ関係者の説明。「この4カ月に及ぶJリーグの中断で(7月4日からの)試合再開後は過密日程になり、厳しい状況ではあります。0%ではないんですが…」。イニエスタの出演を後押ししたい思いは伝わるが、日程調整は相当難しいようだ。

今季のJリーグ最終節は12月19日に設定された。年末年始には、2連覇を狙う天皇杯に出場している可能性もある。嵐は大みそかを最後にグループとしては活動休止に入るだけに、当然ながら超多忙だろう。やはり、両者に与えられた時間は少ない。

もちろん、今後もイニエスタは本業のサッカーに100%集中して臨むのは言うまでもない。疲労回復の時間を削ってまでテレビ出演することもない。ただ、本人もゲスト出演に前向きになっており、1%でも可能性があるなら、夢の共演を待ちたいと思う。【横田和幸】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆横田和幸(よこた・かずゆき)1968年(昭43)2月24日、大阪府生まれ。91年日刊スポーツ入社。96年アトランタ五輪、98年サッカーW杯フランス大会など取材。広島、G大阪などJリーグを中心にスポーツ全般を担当。