柏レイソル、横浜FCなどでプレーし「ジャンボ」の愛称で知られる41歳のFW大久保哲哉が、今季もプロとして神奈川県1部・FIFTY CLUBでプレーする。

大久保は19年に現役続行にこだわり、当時J3のザスパ群馬から7部相当のFIFTY CLUBへ加入。19年は18試合18得点で得点王。2年目の20年は、新型コロナウイルスの影響で試合数が激減したが、8試合9得点で2年連続の得点王に輝いた。今季も同クラブからプロ選手としてのオファーを受け、41歳での現役が決まった。

大久保はこの2年の得点を「数字だけ見たら外国人選手並みですね」と笑い、「41歳になって、契約更新のお話をいただけた。現役にはずっとこだわっている。プロ契約でプロ選手として取ってくれるチームがあることはすごくありがたいこと」と感謝の気持ちを口にする。

昨年は川崎フロンターレの中村憲剛氏が40歳を区切りに引退し、鹿島アントラーズの曽ケ端準氏も41歳で引退した。去る選手がいる一方で、大久保のようにカテゴリーを下げても現役にこだわる選手もいる。サッカーが好きだからこその選択だろう。大久保は言う。「このクラブに加入が決まったとき、(横浜FCのFW)カズさんに報告したら、カテゴリーは関係ない、と言ってくれたことは今でも覚えています。僕はJ1から県リーグまで経験しているので。公式戦があると、緊張感で高揚するし、現役の楽しさを今でもすごく感じている。今は、1年でも長くやりたいという思いが強い」。

現在の所属チームはアマチュア選手が多く、練習は週3回で午後9時から。プロ入りしてから続けている居残りのシュート練習は今も日課だ。シュート練習を終えると、日付が変わる時刻になる。公式戦は人工芝で、場合によっては午前9時のキックオフの試合もあり、Jリーグとは環境も異なる。試合では、相手がプロの大久保に「絶対に決めさせたくない」と数人がかりでマークに来る。その中でも2年連続得点王と結果を残したのは、深夜のシュート練習などの地道な努力と、サッカーへの情熱があるからこそだ。

プロ活動の一方で、19年にA級ライセンスを取得し、指導者として神奈川・三浦学苑サッカー部のテクニカルアドバイザーとして、男子サッカー部の指導にあたる。今年から、女子サッカー部が新設され、女子の指導も予定している。自身のプロ人生を通し、高校生には「日々の地味な練習の積み重ねで、すごい舞台に立てることにつながる」ことを伝えたいという。

FIFTY CLUBの新シーズンは5月に開幕する。「自分が20代のころ、40歳で現役なんて考えられなかった。でも今は、40代でまだまだいけると。周囲の先輩から、30代でサッカーが分かって楽しくなってくると言われた。40代になっても楽しいなと」と目を輝かせる。

今季の目標は3年連続得点王と、チームの関東2部リーグへの昇格だ。「チームを勝たせて、優勝して、自分を生かしてくれた角野監督を胴上げしたい」と意欲を見せる。J1では、セレッソ大阪で同じ名字のFW大久保嘉人が38歳で5得点を挙げ活躍している。ジャンボ大久保も3年連続得点王へ、まい進する。【岩田千代巳】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)