<高校サッカー:大津3-2藤枝東>◇3日◇3回戦◇三ツ沢

 大津(熊本)が前回準優勝の藤枝東(静岡)を破り、7大会ぶり3度目の8強に進出した。試合前、帝京を6度の選手権Vに導いた古沼貞雄コーチ(69)が、東洋大の箱根駅伝優勝を例に訓話し、選手を鼓舞。右サイドのスーパーサブ藤崎裕太(2年)のゴールなどで伝統校を倒し、初の日本一へ勢いをつけた。

 「日本一の力」を結集し、大津が激戦を制した。試合前のロッカールーム。古沼コーチは、直前までテレビ観戦した箱根駅伝の話を始めた。初優勝の東洋大が過去最高の3位に入った60年、日大陸上部で箱根路を競った同コーチは「東洋は50年くらい、あきらめず走り続けて勝った。お前らも心で負けなければ、いける」と激励。11、12月で熊本・大津町に計25泊して指導を重ねた名将の言葉に士気は上がり、序盤から攻勢をかけた。鋭い突破を重ねた両サイドが起点となり、前半で2点リードを奪った。

 前回準優勝校の粘りにも、日本一のバイタリティーで対抗した。夏の高校総体は4強も、優勝の流通経大柏、市船橋より1試合多い5試合。天皇杯では高校勢唯一の2回戦に進出した。プリンスリーグなどを含めると「おそらく日本一、公式戦をこなしている高校生」(平岡和徳監督=43)だ。遠くは金沢へチームバスで出向いた夏休みは、平岡監督が就任16年目で最長の約3150キロを運転し、35試合をこなした。2-1の後半20分にゴールを決めた藤崎は「天皇杯で社会人にも通用すると思った」とドリブル突破からゴール。同じ小川中出身の日本代表FW巻(千葉)の後を追い、入学した2年生は「実戦が増えてレベルアップした」と話す。

 古沼コーチは「良いところも悪いところも出る試合も、優勝を目指すには必要」と接戦を前向きにとらえる。帝京83年度優勝時の主将だった平岡監督は「心技体を伸ばすのは、かけ算。どれかがゼロなら結果はゼロだが、強い相手を倒せば、大きな数を掛けられる」と選手の成長を表現し、指導者として初の4強へ自信を見せた。【佐藤千晶】